不登校・引きこもりからの大学進学塾

偽装不登校専門塾の見抜き方 ~悪質な塾に欺されないための10の対処法~

「高名な精神科医が推薦する不登校専門塾に入りました。入ってから分かったのですが、雰囲気の良かった代表者の方は結局一度も授業に来ず、現場はアルバイト講師が入れ替わりで受け持つだけで退会もさせて貰えず、しかもやってもいない授業の分までお金を取られて返金もされませんでした」

2023年後半から急激に増えた相談事例

 年々悪化する少子化の影響で採算の悪化した学習塾業界にとって、不登校支援は最後の草刈場の様相を呈しています。

不登校専門を標榜する塾が増加した背景

 私がこの仕事を始めたのはざっくり20年近く前になりますが、そのときは不登校・引きこもりを専門に扱う学習塾はほぼ無かったと記憶しています。ニーズ自体が少なかった上、その実態が認知されていなかったという事情もあったのでしょう。少子化は叫ばれていたものの、相変わらず大手予備校は盛況で、小中学生向けの塾も勢いがありました。わざわざ面倒事の多い不登校・引きこもりに着眼する必要も無かったのだと思います。

 翻って2020年を過ぎると、コロナの影響に加えていよいよ少子化の波に抗しきれなくなった一部の塾産業は、日増しに悪化するキャッシュ・フロー改善のため、段階的に不登校生向けの教育指導に舵を切り始めました。ただ、真摯な姿勢で不登校に悩む子達への教育指導を行っていたなら特に問題は無かったのですが、金勘定そのためだけに不登校支援を謳い始めた塾では、不登校とは何ら関係の無い杜撰な指導が何年間も垂れ流され、結果的に多数の不登校生が卒後の引きこもり生活を余儀なくされました。

 ただ、これには不登校生を抱える家庭と塾側との思惑が合致したという事情もあります。

普通の塾が不登校専門塾を主張し始めた理由

「子供が朝から学校に行ってくれているのは、本当にありがたいことだ」

 不登校生を持つ家庭では、コロナ前から延々言われ続けていた話です。子供が学校へ行かなくなると、食事の準備に加えて勉強の面倒を見る必要があり、場合によっては運動のサポートもしなくてはならない。それだけ親が頑張っても、人付き合いは相変わらず苦手なままで、四六時中顔を合わせているために親子喧嘩も増える。不登校業界での「あるある話」が、コロナをきっかけにほぼ全ての家庭で共有されるに至りました。「亭主元気で留守がいい」は何も亭主に限った話ではなく、「子供元気で留守がいい」もまた、現実的には十分に当てはまる事実でした。

 学校という居場所を喪失した一部の家庭は、その代替手段として塾での学習を模索し始めました。公設教育が難しければ私設教育に目が向くのはある意味道理で、良く言えば子供の未来のため、穿った見方をすれば厄介払いも兼ねて、塾での教育が盛んに模索さるようになりました。

 一方、上述の通りキャッシュ・フローに課題を抱えた塾側では、新規顧客の獲得が喫緊の課題となっていました。そこで目を付けられたのが、常勤講師が手ぶらになりがちな午前~昼過ぎまでの時間帯です。一般的な塾経営の難しい部分は、学校との兼ね合いです。学校は大体15時前後で下校となりますので、生徒が集まるのはそれ以降の時間帯。収益の上がる時間帯が極めて限定的な一方で、教室の賃料は他の業種同様のレベルで必要になりますし、規模が増えるほど常勤職員の数も増やさざる得ません。学校システムが生きている以上実質的に利用不可能なオフピーク帯は、塾産業における最大のボトルネックになっていました。

 しかし、そこへ日中の時間帯を持て余した不登校生がやってきます。彼らは一般的な生徒と異なり、塾側の都合の良いオフピーク帯での学習が可能で、尚且つ親御さん側も午前~昼での授業を強く望んでいます。結果、両者の思惑は見事に合致し、日中は不登校生への指導、夕方以降は一般生徒への指導という棲み分けが可能となりました。

 ただ、これをただの都合の良い新規顧客獲得競争と認識した一部の塾のため、学校というシステムで落伍した子が、塾というフェイル・セーフからも再び零れ落ちるという悲劇が散見されるようになります何らノウハウの無い塾が不登校専門を名乗り、本当に必要な支援に背を向けて金策に奔走した結果、少なくない数の不登校生が貴重な10代を棒に振り、今なお惨めな引きこもり生活を余儀なくされています。

 このような状況が継続されないよう、今回は過去一年半にわたって届いた相談事例を集計し、「本当の意味での不登校専門塾」を見極めるためのポイントを10項目に分けて分かりやすく説明することにしました。若い番号程重要度が高く、特に1~4の項目に不備がある塾は、いかにもっともらしいことを主張していたとしても、それは100%偽装専門塾です。まず第一に気を付けるようにしましょう。

対処法1:偽造不登校専門塾は「無断欠席」で判断する

 その塾が不登校専門かどうかを見抜く一番分かりやすい方法は、「無断欠席をしてみる」です。「塾に申し訳無い」「社会常識としてどうなのか」「行き場所が無くなる」などと面倒なことを考える必要もありませんし、事前連絡も何も要りませんので、直球勝負・どストレートに授業をサボってみて下さい。特に体調が悪くなくても用事が無くても全く構いません。塾へは一切の説明無しに、堂々とサボりましょう。

 そして、その塾のその後の出方をチェックします。もし、その無断欠席分の授業料が没収されていた場合、それは100%偽装専門塾です。不登校専門と銘打っておけば売上が上がりやすいので適当にそう名乗っているだけで、実情は不登校専門でも何でもありません。

 そもそも、不登校は欠席こそが最大のテーマです。何らかの理由で規定環境に出席出来ない点に要点があるわけで、支援側としては欠席の回避にこそ最も力点が置かれていて然るべきです。よって、仮に利用者の事情で欠席が発生したとしても、まずその欠席という事実に一番エネルギーを割いて対処法を考え、具体的プランを練るのが塾側の仕事のはずですから、欠席を理由として授業料を没収することはまずありません。

 不登校専門塾の場合、特に無断欠席があっても何も言われませんし、「ああ、今日はお休みか。それなら、また次の具合良いときに来てな」で終わりです。欠席分の授業料は別の授業に自動的に回され、振替も自由に選択出来るよう配慮されています。CARPE・FIDEMも長年この形式で何らトラブル無く運営されていますが、他の良識的な不登校専門塾も全く同様のシステムになっています。

 もし授業料を没収されたら、「不登校専門塾なら、無断欠席でも授業料は没収されないと聞いたのですが」と確認してみましょう。偽装専門塾は「そんな話は聞いたことない」「定款に没収扱いになると書いてある」「そもそも時間も守れないようでは、これから先社会でやっていけない」等、何かと理由をつけて没収してきます。これは最近特にクレームの多い偽装専門塾の常套手段ですので、真っ先に疑うようにしましょう。

 もっと穏当に済ませたいなら、入塾相談の際に、「無断欠席は返金対象ですか?」と聞いてみて下さい。NOと回答があった場合、どんなに高尚な理由を掲げ、代表者による不登校お涙頂戴話が延々と展開されていたとしても、そこは立派な偽装不登校専門塾です。適当に相談を切り上げて、早々に帰るようにしましょう。

対処法2:ウェブサイトに分かりやすい料金表が無い場合は赤信号

 東京都フリースクール等利用者等支援業の同意書には、「保護者等に対して、ホームページ等を通じて運営状況や料金体系を明らかにするなど適切に情報提供を行います」という項目があり、利用料に関して分かりやすく明示することが求められています。

参照:「東京都フリースクール等利用者等支援業

 一方、ウェブサイト上での料金確認が出来ない、或いは明示されていても実際の請求額が異なる等の相談が度々寄せられており、偽装専門塾の判定基準の一つになっています。

 後述する対処法4のように、悪質な塾ほど概して金銭面での執着が強い傾向があり、「同業他社より安い」と表面的には低価格を掲示する一方で、入塾してから何かと理由をつけては実際は高額な費用を請求し、その後対処法1のような事例が発生しても返金を拒否する事例が散見されます。費用面で不明瞭な部分がある場合は疑ってかかるようにしましょう。

対処法3:無料の体験授業システムが無い塾は避ける

 既存の学校での失敗を経験した不登校経験者にとって、学習環境の選定は最重要課題の一つです。そのため、選定作業には細心の注意を払うべきです。

 実際、CARPE・FIDEMでは入塾面接の際、

「折角お越し頂いてこのように言うのも何ですが、あなたにとってCARPE・FIDEMというこの環境がベストかどうかは私にも全く分かりません。〇〇という塾もあれば、△△という予備校もあります。場合によっては、家庭教師の方が良いかも知れません。よって、CARPE・FIDEMへの参加の可否は、体験授業や見学を利用して、十分納得してから決めて下さい。体験授業は無料で、科目についても特に制限はありませんので、じっくり時間をかけて判断して下さい。即決は決してお勧めしません」

と説明していますが、参加希望者からすれば何ら判断材料が無い状態からスタートするわけですから、無償での材料提供は至って当たり前の話ですし、寧ろこれはサービス提供者側の義務と言っても過言ではありません。

 一方、そのような当事者視点が欠落して営利に走ると、何かと理由をつけて体験授業を拒否したり、体験なのに費用を求めてくる塾も出てきます。入塾面接の際に、「無料の体験授業をさせて下さい」とお願いしてみましょう。自社システムを理由に体験授業を拒否してきたり体験授業が有償だったりする場合、その運営者には不登校当事者視点が根本的に欠落しています。

対処法4:振替や返金を制限・拒否する塾は既に傾いている

 対処法1にも記載しましたが、不登校の最大の問題は欠席です。従って、不登校専門を謳っているなら欠席に対する対処は抜かりないはずですし、補講などのバックアップも細部まで配慮されています。逆に、不登校専門と言いながら無断欠席程度で授業料を没収するようならそれは詐欺ですし、仮に定款に「無断欠席は返金しない」との文言があったとすれば、それはもはや不登校専門でも何でもありません。ただ不登校を謳えば収益が上がるのでそう主張しているだけの偽装専門塾です。

 他にも、「振替回数に制限がある」「振替に追加費用がかかる」等、運営側の事情で様々な制約をかけてくる塾には気を付けましょう。また、返金を謳っていながら「初回しか適用不可」等の細かな制限がある場合も要注意です。ここ数年で目に見えてクレームが増えた塾では、不登校当事者視点ではなく、運営側・経営側視点が原因でのトラブルが散見されます。

 尚、返金システムがそもそも存在しなかったり、或いはあってものらりくらりと返金がなされないなら、その塾は既に経営が傾いている可能性があります。倒産して手遅れになる前に、特に強く返金を求めて下さい。大量の未実施授業がありながら、定款を盾に返金請求を無視する悪質な塾もありましたが、そのような場合はこれまでの経緯と状況を分かりやすくまとめ、国民生活センターへ問い合わせてみましょう。

参照:『 学習塾・教室、家庭教師 』 内のFAQ

対処法5:補助金や助成金の話が頻出する塾は出入り関係者に注意

 長期にわたって家にこもり続けた結果社会復帰が不可能となり、経済的にも精神的にも他者に100%依存して生きている長期高齢引きこもりという存在がいます。不登校の対処に失敗した末路の一つとして日本国中で既に何十万人もの数で発生している一方、彼らに対する有効な対処法は既に無く、実質的にはそのまま死を待つのみの状態となっています。

 この長期高齢引きこもりへの支援者には、弱者救済を名目に行政に対して補助金・助成金の無心を行い、成果の出ない形だけの支援で表面を取り繕い、予算の大部分を仲間内の人件費に回す歪んだ団体が複数存在しています。現場で確認する限り自立成功例は5%にも満たず、投入資金に対する有効性は限りなく0なのですが、それでも尚支援を声高に主張する支援者がいるのは、その補助金や助成金が主に共産系や旧社会党系他、極左系活動家の資金源となっているためです。

 当事者の改善よりも自団体の活動費獲得が目的であるために発生する事態ですが、最近になって、これと似たような事例が不登校業界でも見られるようになってきました。引きこもり業界同様、この類の支援者は国や自治体からの補助金・助成金を活動資金に充当しているため、何かにつけて補助金や助成金の話が出てきます。背後に活動家がいる場合もあれば、地域によっては、食いっぱぐれた極左活動家が塾を運営している場合もあり、現代文の演習に自派の政治色の強い文章を選択するなど、引き入れを画策していると思しき事例もありました。引きこもり支援同様、「団体の政治活動メイン・支援二の次」で支援の質も低いため、積極的に避けるようにしましょう。

 一般的に、活動家絡みの塾は設備関係が貧弱で、状況によっては貧民窟のようになっている場所もありました。見た目でもある程度判断出来ますので、あまりにみすぼらしい環境からは逃げるようにして下さい。

対処法6:進路実績が文系進学に偏っていると就職でトラブルに

 CARPE・FIDEMの講師は卒業生からしか採用しないのですが、稀に「不登校経験があるので講師として雇って欲しい。不登校の子達の気持ちが分かるので」のように主張する社会人の方から採用面接を求められることがあります。「不登校の子達の気持ちが分かる」云々は、実際の支援面ではどうでもよいことなので、現実的には採用することはまずないのですが、一応そこに至った経緯を聞いてみると「不登校専門塾に行って、(微妙なレベルの)文系学部に進んだ(或いは途中で退学)ものの、卒後就職先が営業職しかなく、辛くなって方針転換した」と説明される事例が大多数で、ときには「不登校経由して司法試験に挑戦していたが、結局合格出来ず、就職先も無くなった等の事情を聞かされることもあります。

 彼等には気の毒ですが、これは典型的な不登校支援の失敗例で、本音を言えばその「自称」不登校専門塾の責任です。繰り返し言っていることですが、不登校・引きこもり経験者と文系学部は極めて相性が悪く、最低限不登校専門を自任している塾なら、文系学部を推奨することはほぼあり得ません。彼等のかつて在籍していた塾は典型的な偽装専門塾で、卒後の就職zなど何も考慮せず、大した指導も無しに適当な大学を斡旋した。そしてその結果就職にあぶれ、今になってから右往左往しているのでしょう。

 繰り返しますが、不登校・引きこもり経験者と文系学部は極めて相性が悪く、最低限不登校専門を自任している塾なら、不登校経験者に文系学部を推奨することはほぼあり得ません。にもかかわらず卒業生が文系進学に偏っている場合、そこは偽装専門塾か、或いは卒後のことなど最初から年頭に置いてない不誠実な運営主体と判断して間違いないでしょう。

参照:「不登校・引きこもり大学受験診断

対処法7:講師が文系学部出身者ばかりでないか確認する

 対処法6のように、不登校→文系学部進学後の就職状況は決して良くありません。そのため、就職にあぶれた不登校経験者が古巣の塾に戻って講師をしているケースがまま存在しますが、これはつまり、その塾を卒業した後の社会人生活で順応に失敗し、事実上食いっぱぐれた状態と見ることが出来ます。待遇の良くない教育産業に戻ってきている元当事者は、仮にどのような好意的主張をしていたにしても、実社会での擦り合わせに失敗している「でもしか先生」の可能性が否定出来ず、パッとしない大学の文系学部出身者程この可能性が増加する傾向にあります。

 文系学部出身講師は必然的に次の文系学部進学者を生み出しがちで、不登校・引きこもり経験者がこの悪循環に巻き込まれると、折角不登校・引きこもりから脱却しても、その講師同様の「就職出来ない文系ルート」に絡め捕られてしまうため、年数・費用両面で全てが無駄になります。既にいくつかの偽装専門塾で確認されている話で、この「文系ループ」の問題点に気づいたご家庭が逃げるようにCARPE・FIDEMへやってきており、その数は年々増加傾向にあります。

 「文系ループ」を回避するために、入塾相談の段階で講師陣の出身大学と学部を確認し、文系学部出身講師の割合を調べてみましょう。卒後の状況まで勘案している塾の文理比率は最低でも1:3を維持しており、全員が理系出身の場合も特に珍しくありません。文系学部出身者に偏っていたり、中堅以下の大学出身者が目立つ塾は予後が良くない傾向にあるため、余程の事情が無い限り避けるようにして下さい。

対処法8:優しさ・配慮・思いやりがウリの塾は使い分けを

 特段の才能が無い人を指して「優しい人」と評価するのはよくある話で、才覚の乏しさと優しさという単語の発生率には一定の相関性が見られます。ただ、これは不登校・引きこもり業界でも同じことが言えます。

 不登校・引きこもり経験者は一般的な進学ルートから落伍しているため、通常ならば普通に手に出来る資格や採用枠にありつくことが出来ません。従って、優先的に対処すべきは「どのような手段(職業・資格)で生きていくのか?」という生存政略になります。

 その一方、生存戦略は二の次に、「心のケア」「思いやり」「優しく手助け」のようなソフトタッチに過剰な力点を置く塾もあります。概して、この類の塾には具体的かつ長期的な生存戦略が無く、「不登校で可哀そうだから優しくすべき」のような安易な短絡が見受けられますが、これは有効な生存戦略を提示出来ないので、目先の問題を誤魔化すために「優しさ・配慮・思いやり」を利用しているという事情があります。

 確かに、小・中学生等の若年層や、不登校最初期、或いは自立困難な障害を持つ子にはそれも部分的には有効です。ただ、最終的な自立を考えた場合、「優しさ・配慮・思いやり」の話を前面に押している環境は成長に乏しく、結果的にただの社会的弱者を生み出すだけで終わってしまっています。対処法6で明示された採用希望者の事例は典型的なこのパターンで、優しく頭をヨシヨシされただけで、社会人生活を続けるだけの才覚は何一つ得なかったのでしょう。

 不登校専門塾は、その子の最終的な自立も見越して運営されているため、「優しさ・配慮・思いやり」を前面に押し出すことはせず、バランス運用に力点を置いています。現実を直視した上で、「表層的な優しさは、最後の最後で自身の未来を裏切ってくる」と心得て下さい。裏切られた後になってから取り返そうとしても、現実的には不可能です。

参照:不登校・引きこもりの原因とその対処実例 ~共感は本当に必要なのか?~

対処法9:卒業生同士のコミュニティが機能しているかチェック

 不登校・引きこもり経験者は、一般的な進学ルートを経由した学生さんと比較して、大学入学後、大学卒業後も何らかの形で苦労が続く傾向にあります。中学から落伍しているなら中学から、高校から落伍しているなら高校から、本来ならあるはずの同窓生的存在も彼らには全く与えられていません。

 そのため、不登校・引きこもり経験者にとって、不登校専門塾は同窓会が機能する数少ない環境です。CARPE・FIDEMでも、自然発生した同窓会が毎年のように開催され、大学生や社会人が自然な形で集まってきますが、標準的かつ誠実な運営をしていれば、特に狙わなくともこのような会合は自発的に発生します医学部コミュニティや情報学部コミュニティ、会計士コミュニティ等に加え、場合によっては就職した業界でのコミュニティ等が定期的に開催され、今後は法曹系コミュニティが追加される予定です。

 逆に、卒業生同士の有機的なコミュニティが存在していない塾には、その環境における思い入れある在籍生がおらず、無機的な居場所としての環境しか存在しない可能性が高いと見た方が無難です。標準的な高校を想定したとして、そこで発生する普通のコミュニティさえ生み出せない環境では、卒後のサポートも期待出来ないでしょう。

 入塾段階で、卒業生のコミュニティに参加出来るか確認してみましょう。拒否されたり、或いはそもそもコミュニティが存在しない場合は、本当に不登校専門塾として機能しているのか一度疑って下さい

対処法10:経営責任者が現場にいない場合は偽装と考える

 不登校業界も、過去数十年の間にニーズが大きく変化してきました。現場百回ではありませんが、不登校・引きこもり当事者側の要望も時代と共に変わり、運営側もそれに合わせて微調整を繰り返しています。

 一方、対外的には不登校寄りの発言を繰り返す一方、現場には全くと言って良い程姿を見せず、気がついたら全く別の事業に目を向けていたり、講演会ばかりに奔走している経営責任者もいます。本当に当事者のことを考えていれば、その姿は利用者側からも確認出来るはずですし、距離感も必然的に近くなるものですが、現場仕事に飽きた経営者は、本業そっちのけで何かと理由をつけて現場から距離を取る傾向があります。

 入塾の際には、短時間でも構いませんので、教室責任者だけでなく経営責任者との面談を希望してみましょう。短時間の面談すら用意されず、「責任者は忙しいので」「普段は教室にいないから」「実際の教育には関与していない」等の説明があった場合はほぼ偽装専門塾と見て間違いないでしょう。

対処法10項目のまとめ

 以上、上記対処法をどの程度クリアしているか調べることで、不登校専門塾の程度を計測することが出来ます。

 分かりやすくまとめると、標準的な不登校専門塾では、

1:無断欠席は自由に出来る上、それを理由にして授業料を徴収されることはありません。

2:分かりやすい料金表がウェブサイト上で提示されています。

3:無料体験授業の機会が必要な回数だけ全科目で十分に与えられています。

4:振替は無制限に出来る上、未実施授業については返金システムが保障されています。

5:補助金や助成金の話が頻出することはありません。

6:就職・転職時のことまで考え、卒業生は大多数が理系寄りの進学をしています。

7:講師陣の文理区分は、1:3が最低ラインで、全員理系出身でも矛盾はありません。

8:表層的な優しさを前面に押し出すのではなく、長期的かつ現実的な自立案を提示しています。

9:卒業生による主体的な同窓会が長期間にわたって継続しています。

10:経営責任者は可能な限り現場に出て、学生への指導を行っています。

の10条件が確保されています。

 参加予定の塾が決まったら、入塾相談の段階で上記10項目を順番に確認し、その健全性を測定してみて下さい。特に、1~4の項目に一つでも不備がある塾は、不登校支援の基本が守られていませんので、まず100%推奨しません。1が保障されていないにもかかわらず不登校専門を標榜するのはほぼ確実に詐欺ですし、2が無い場合はガイドライン違反です。3の無料の体験授業の無い塾など、今時珍しい位に不誠実です。4が満たされてないなら、既に倒産秒読みの可能性すらあります。

 5~10については、個々の家庭の事情に合わせて勘案して頂いて構いませんが、今の時代に極左活動家に絡め取られて良い気分になる家庭は無いでしょうし、不登校支援の現場にいて文系寄り進学の不利益を知らない支援者はかなり問題があり、仮に知っていて勧めるのは不誠実です。また、卒業生が自主的に集まらない環境や、経営責任者が現場にいない環境はどう見ても正常ではありません。

 上記のように、表層的には不登校専門と銘打ってはいるものの、その実ただキャッシュ・フロー改善の手段として生徒を利用しているだけの塾も存在します。悪質な塾程表面的には優しく、甘い見通しを話し、何かと内部に引き入れようとしますが、偽物を見抜くにはお金の扱いを見るだけで事足ります。

 色々面倒でしたら面接の際に一言、「無断欠席でも返金になりますよね?」とだけ聞いてみて下さい。それだけで偽物は確実に炙り出せます。

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