不登校・引きこもりからの大学進学塾

結婚相手の親族に、引きこもりという「負」動産がある場合の注意点1 ~失われる多額の財産~

引きこもりが家一軒食い潰すまでの過程を説明します。

「兄(英一郎さん)の関係(原因)で、縁談があっても全部消えた
(娘は)それで絶望して自殺しました

元農水事務次官長男殺害事件

 引きこもりという行為は、しばしば親族の未来をも殺します。

引きこもりが親族の婚姻に与える影響

 今回のテーマは私の本業ではないものの、電話やメール相談でたまにやって来る 引きこもり 関連の話題で、想定より要望が多かったもの、即ち「結婚相手に兄弟姉妹に引きこもりがいたら、どうしたら良いのか?」です。具体的な対策とは趣が異なりますが、ある程度構成がまとまってきましたので、参考までに掲載しておきます。(多少フィクションを入れています。)

相談事例1 20代後半 女性 首都圏広告系中小企業勤務

「来年結婚予定相手のお兄さんが、高校のときから不登校で、それから15年以上引きこもりらしいのですが、結婚は進めてしまって大丈夫なのでしょうか? 自分から見る限り、結婚相手の彼は普通の人なのですが、他に兄弟姉妹はいないようですし、相手の親が亡くなった後の親族は彼しかいないため、義理の兄の世話まで求められたりしたら嫌です。

 結婚後は子供を作る予定で話し合っていますし、私達の家庭も、子供達が大学卒業するまでは余裕があるとも思えません。今のところ、子供が小学生に上がるタイミングで家を購入する予定で、しばらくの間はその積み立てをすることになっています。私も、出産後は非正規で仕事をするつもりで話し合っています。

 彼の親御さんは、普段会う分には優しそうで、私のことも気遣って下さるので助かっているのですが、何故か会う度毎回レストランや料亭のようなところばかりで、彼の実家に行ったことが一度もありません。以前、その話を彼にしてみたのですが、何となく私を家に上げたくないような雰囲気です。

 自分の実家も普通の家庭でしたし、名家でも何でもない平凡な家族でしたが、兄と妹も今は社会人と大学生で、引きこもりの兄弟がいる家庭の様子が良く分かりません。彼の家庭に文句を言うのは筋違いかとも思うのですが、事情が分からないだけに、彼のお兄さんの件だけがどうしても引っかかってしまいます。

 彼のお兄さんが、私達の家族に関係してくるのだけは止めて欲しいと思います。近い親族は扶養義務があるとか聞いたこともありますし、お兄さんが私達家族に関与しないように言うべきなのでしょうか? 私の親も、彼のお兄さんの件だけは良く思っていないようですが、親族になるのですから、結婚するにあたって風波を立てたくないというのが本音で困っています。ご意見をお願いします」

相談に対する回答

 一般論ですが、長期高齢引きこもりが親族にいる場合の問題点を重要度(厄介度)の順にまとめますと、

1:相続や生活費等の経済的問題
2:家庭内・家庭外暴力の問題
3:当事者の世話に関する問題

となります。分量が多いため、何回かに分けて順に進めて行きましょう。

1:長期引きこもりが一人発生すると、戸建ての家が一軒消える

 概算ですが、一般的な家庭内で、引きこもり一人を養うのに最低限かかる年間費用は、かなり低めに見積もっても、

食費:2万円×12=24万円
光熱費:0,5万円×12=6万円
被服:0.4万円×12=4.8万円
通信費:0.5万円×12=6万円
雑費:1万円×12=12万円
国民年金:1.6万円×12=19.2万円(60歳まで)
健康保険:扶養に入るとして0万円とする。

合計:72万円

となります。仮に、20歳から80歳まで引きこもり続けたとすると、総額約4,000万円。十分に家が建つ計算になります。

 因みに、これは一般的な家計から見た本当に最低限の金額で、小遣いみたいなものは全く入れていませんし、怪我や病気もしない前提です。小遣いや怪我・病気の医薬品費等で月に数万円でもかかっていれば、全体の総額は5,000万円を超えても、特におかしい話ではありません。

 また、これは実家で親と同居している場合で、別居や施設利用などで住居費がかかる場合は、1億円以上かかると見て間違いないでしょう。1億円となると極端に感じるかも知れませんが、平均的なサラリーマンの生涯年収が2~3億円ですので、引きこもり当事者がそれを自力でカバー出来ないことを考えると、1億円でもそこまでおかしな話ではありません。身の回りのことさえ自分で出来ないケースが多いことを考えると、寧ろ安い位かも知れません。

 以上の例から分かるように、社会に出るつもりのない引きこもりがいるだけで、家計に対する圧迫は、最低でも家一軒分に相当します。

 仮にあなたがその「引きこもり持ち家庭」と親族関係になった場合、非常に良い状況でも、一般的な家庭と比較して、相続金額が家半軒分消えます。(ただ、一般に、長期引きこもりを許すような親の場合、引きこもり本人に甘めな見積もりをして、引きこもり側にお金を残そうとするので、実際の損失は一軒分になる可能性が高いです。)

 ただ、相続が減る程度なら、まだ可愛い方かも知れません。最悪のケースは、親の遺産を食い潰した後、義(両)親、義兄も合わせて、あなたの家族がまとめて面倒を見ることになる場合です。この場合、とてもではないですが、普通の家庭運営は不可能でしょう。

 経験則的には、引きこもり当事者の生命維持費用は親が出すことになっていますので、あなたの場合、義理の両親に該当する方々が支払うことになるでしょう。(現在も支払っていると思いますが。)彼等が存命の場合には、日々の生活費という形で支払われるでしょうし、他界された際には、相続によって資産の移転が行われる場合が多いと思います。

 問題なのは、その費用が不足する場合(義理のお父さんが退職されて余裕が無くなったり、相続金額が少ない場合等)です。その際の一般的な状況ですと、あなたの配偶者の方に順番が回ってきます。義理のお兄さん(引きこもり)の存命期間にもよりますが、施設の利用という可能性等を考えると、相続以降最低でも3,000万円の「持ち出し」は見ておいた方が良いと思います。金額が大きく見えるかも知れませんが、これは、引きこもり当事者は仕事をしていないため、まともな年金が無い、最悪の場合完全に無年金であることを念頭に入れているためです。

結論「結婚相手の親族に引きこもりがいると多額の金が飛ぶ」

 以上のような事情により、長期高齢引きこもりは、その年数が上がるほど、周囲の親族にとっての厄介な「金食い虫」になります。親が全てカバーしているうちはまだマシですが、親の死亡後の厄介度は容易に想像がつくでしょう。

 現行の長期高齢引きこもり世帯では、既に相続や生活費、医療費の負担を巡って親族間の金銭トラブルが発生し、長期高齢引きこもりの死を切実に願うといった話が少数ながら出始めており、今後確実に増加すると見込まれます。ただ、仮に死を願う親族がいたにしても、これは不謹慎な話でも何でもなく、寧ろ一般的な感情と見るのが妥当でしょう。長期高齢引きこもりが浪費する5,000万円近い金額は、

〇一般的な居住用住宅一軒とその維持費
〇子供三人分の平均的教育費(大学まで)
〇サラリーマンの平均的生涯年収の20~25%

に該当します。長期高齢引きこもりが一人いるだけで、普通に生活している周囲の親族がマイホームや大学進学の夢を諦めたり、生活を切り詰めたりしなくてはいけなくなる可能性がある訳です。

 結果、口には出さなくとも、「何もしないなら、頼むから死んでくれ」と内心で思っていても不思議ではありません。

 この種の話をすると、「人の死を願うとは何事か!」のような社会主義的理想論者の方々が常時一定数いらっしゃって、ときには「人の命の尊さとは!」のようなありがたいお題目を授けて下さるのでございますが、現実はそんなに甘いものでもないことを知って下さい。余裕が無いというのは、空想的(妄想的)理想論ではどうにもなりません。人は生きているだけでお金がかかりますし、それを自力で稼ぎ出せないなら、必ず誰かに迷惑をかけるのです。多少の迷惑はお互い様ですが、行きすぎた迷惑は、もはや犯罪と同義です。

 長期高齢引きこもりのもたらす経済的問題は、「日々の最低限の義務さえ果たさない」という微罪を繰り返した結果、親族関係者からさえ死刑要求が出るほどの重犯罪者扱いとなっている現状を、端的に表していると言えるでしょう。

“結婚相手の親族に、引きこもりという「負」動産がある場合の注意点1 ~失われる多額の財産~” への13件のフィードバック

  1. サスライの天才長期高齢当事者32歳前後 より:

     
     結婚するにも覚悟が必要ということですね。見積もりが甘くて「こんなはずじゃなかった」ってなるのが一番ダメですからね。

    これは、引きこもりやフリーターでも一緒ですね、
    覚悟決めてはじめないと、どうしようもない気がしています。
     僕もそろそろ自分の人生を、しっかり生きていくことにします。

    • CARPE・FIDEM より:

      >サスライさん
       
      >結婚するにも覚悟が必要ということですね。見積もりが甘くて「こんなはずじゃなかった」ってなるのが一番ダメですからね。
       
       ですね。注意してても、見積もりの甘さってどこかで出てきますから、注意無しだと、とんでもないことに!
       
      >これは、引きこもりやフリーターでも一緒ですね、
      >覚悟決めてはじめないと、どうしようもない気がしています。
       
       多分、誰でも同じことだと思います。自分もそう(笑)。
       
      >僕もそろそろ自分の人生を、しっかり生きていくことにします。
       
       お気をつけて。焦らんで良いので、確実に手堅く行きましょう。

  2. […]  結婚相手の親族に、引きこもりという「負」動産がある場合の注意点 […]

  3. 匿名 より:

    フリーター,売れないYou Tuberやミュージシャン等そして、働けないほどの持病等の人が親族にいたら、結婚ためらうことですよね。この文章読んで思ったのは。

  4. 名無し より:

    極端なことを言えば、結婚できないわけではないが、いずれ離婚になる可能性が高いということでしょうかね。この文章読んで思ったのは。夫または嫁に性格などの問題なくても。

  5. 匿名 より:

    この文章読んで思ったのは、そりゃ婚姻者数が減少することも無理はないような理由でしょうね。もはや令和の時代結婚というのが合わなくなってきているんでしょうね。

    • 匿名 より:

      結婚は得られる利権が多いと思いますけど。
      一馬力より二馬力ですし、ビジネスパートナーとの家族ぐるみの交際は裏切り防止にもなるので信用度が独身より段違いですよ。
      独身主義を貶めるつもりはありませんが、結婚は他者と交流することが利益になる人にとって明らかに利が多いと思います。生存闘争をするなら一人より組織で戦うほうが有利ですよ。家庭は最小限の組織ですから。

      • CARPE・FIDEM より:

        >匿名さん
         
         はじめまして。CARPE・FIDEM代表の大村です。コメントありがとうございます。
         
        >結婚は得られる利権が多いと思いますけど。
         
         仰る通りだと思います。税金も減りますしね。
         
        >一馬力より二馬力ですし、ビジネスパートナーとの家族ぐるみの交際は裏切り防止にもなるので信用度が独身より段違いですよ。
         
         全くもってその通りだと思います。国際関係も、経済活動が絡むと安定しやすいです。
         
        >独身主義を貶めるつもりはありませんが、結婚は他者と交流することが利益になる人にとって明らかに利が多いと思います。
         
         全面的に同意見です。独身は独身でアリだとは思いますが、私も利益が多い方です。
         
        >生存闘争をするなら一人より組織で戦うほうが有利ですよ。家庭は最小限の組織ですから。
         
         本当にその通りだと思います。反駁の余地がありません。
         
         私も、結婚そのものは全く否定しませんし、寧ろ好意的に認識しています。基本スタンスは匿名さんと同じです。
         
         単に、ここのコラムでのテーマは、「配偶予定者の親族に引きこもりがいた場合の不利益」にであって、一般的な結婚の是非ではありませんからね。本来なら結婚による利益が多々あるはずなのに、引きこもりのせいでそれがマイナスになる。その注意喚起が主題です。

  6. 匿名 より:

    このサイト読んで思ったのは仮に結婚しても、長続きはしないことでしょうね。

    引きこもりはもちろんのこと、フリーターそして社員でもブラック企業勤務や安月給とか名ばかり正社員等でも結局一緒ということでしょうか。

    そうなってくると、ますます今後結婚する人が減るのも無理はない気がします。

    それにちゃんと社員で働いてて結婚し、妻子がいる状態でも、安心はできませんよね。理由は簡単。

    • CARPE・FIDEM より:

      >匿名さん
       
       コメントありがとうございます。CARPE・FIDEM代表の大村です。
        
      >このサイト読んで思ったのは仮に結婚しても、長続きはしないことでしょうね。
       
       だと思います。本当にただ生きているだけの引きこもりにでさえ、年間100万弱はかかります。暴力を振るう、小遣いを無心する悪質な引きこもりの場合、最低でも200万前後かかります。それを負担するとなると、配偶者の怒りは当然のこと。まして、長期高齢引きこもりなど、第三者から見れば気持ち悪い以外の感想が出ませんので、破綻はある意味必然です。
       
      >引きこもりはもちろんのこと、フリーターそして社員でもブラック企業勤務や安月給とか名ばかり正社員等でも結局一緒ということでしょうか。
       
       いえ、現実的には、働いているならそこまで問題にならないです。フリーターは確かに叩かれやすいかも知れませんが、引きこもりのように「殺意がわく」のような話は来ないです。自分の身さえ自分で維持せず、他人依存で生きているから嫌われるのです。
       
      >そうなってくると、ますます今後結婚する人が減るのも無理はない気がします。
       
       日本の税制は、低所得層に手厚く、同時に既婚者に手厚いです。低所得層程、寄り添って生きた方が実際は楽です。
       
      >それにちゃんと社員で働いてて結婚し、妻子がいる状態でも、安心はできませんよね。理由は簡単。
       
       まあ、その点は否定出来ないですね。相性もありますし。

  7. 28歳妹 より:

    私の兄32歳は引きこもり7年です。1.2年ほど非正規で働いてそのまま無職になりました。おそらく契約更新を断られたのか理由は分かりません。辞めてから、次の仕事探すかと思いきや何もせず深夜にオンラインゲームをする生活。全く働く気がなく、3年くらいはその生活を続けてました。親も最初はどうにかしようとしたのですが、皿を割ったり、暴れるので、今は腫れ物を扱う感じです。今のところ暴力はないです。もう意味が分かりません。自業自得なのに、ほんとに死んでほしいです。こんなこと思いたくない自分も居ます。神さまは何故こんな試練を与えるんですかね。私は幸せになれないんでしょうか。

    • CARPE・FIDEM より:

      >28歳妹さん
       
       はじめまして。CARPE・FIDEM代表の大村です。コメントありがとうございます。
       
      >私の兄32歳は引きこもり7年です。1.2年ほど非正規で働いてそのまま無職になりました。おそらく契約更新を断られたのか理由は分かりません。
       
       引きこもり業界的には、よくある話です。30歳過ぎると、色々厄介です。
       
      >辞めてから、次の仕事探すかと思いきや何もせず深夜にオンラインゲームをする生活。全く働く気がなく、3年くらいはその生活を続けてました。
       
       そのタイプは、大体がダメです。自主的に改善する可能性はほぼ無いと思って下さい。
       
      >親も最初はどうにかしようとしたのですが、皿を割ったり、暴れるので、今は腫れ物を扱う感じです。今のところ暴力はないです。
       
       仮に暴力が無くとも、成人してもなお物理的手段に訴える人間は、そもそものメンタリティが幼稚です。まともに相手する必要はありません。
       
       同時に、今後は親御さんにも変わって貰う必要があります。30過ぎて仕事もせず、まして暴れるような卑しい人間には、それ相応の制裁を与える覚悟を持って下さい。でないと、誠実に生きている人間が被害を被ります。「見てみないフリ」「腫れ物を扱うような」対処は、最終的に全ての人間を不幸にします。
       
      >もう意味が分かりません。自業自得なのに、ほんとに死んでほしいです。こんなこと思いたくない自分も居ます。
       
       おかしな人間のせいで、まともな人間が被害を受けるのは、許されざることです。同時に、「自業自得なのに、ほんとに死んでほしいです。」という気持ちは、今後も持ち続けて下さい。殺すために持つのではありません。本音を隠蔽したことで、後々発生するかも知れない感情の暴発を防ぐためです。家族全員が引きこもりに対して殺意を持つ位が、本当は正常な状態です。
       
      >神さまは何故こんな試練を与えるんですかね。私は幸せになれないんでしょうか。
       
       やれることはまだあります。まずは、ご両親と話してみて下さい。最終的に「引きこもり」VS「その他全員」に持ち込めれば勝ちです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

pagetop