不登校・引きこもりからの大学進学塾

ブログ

ワイン雑感5

 お酒好きな人なら、誰しも「思い出のワイン」ってあると思うのですが、自分の場合、それは「ドメーヌ・ビヨー・シモン」の「シャブリ」。

 別段、取り立てて高級なものでも何でもないものの、生まれて初めて、自分の稼いだお金で買ったワインで、右も左も分からない状態から、店員さん(確か、西武だったかな?)に言われるがまま、生ハム・チーズと一緒にお買い上げ。

 が、20になるかならないかの青年が飲むには早かったのか、ボトルを空けるのに、随分難渋した記憶があります。兎に角「ピリッ!」と引っぱたくような、強烈な辛さが印象に残っていましたね。

 それからしばらくして、親族の付き合いで、小洒落た小さなホテルに泊まったときのこと。料理の質も良く、ワインへの期待も高まってきたところ、偶々リストにシャブリが。記憶が定かではありませんが、確かプルミエ・クリュだった気がします。

 ただ、どうにもこのワインが面白くなく、シャブリにしては腑抜けていて、料理の質とのバランスが微妙。他の親族も等しく、

「うん……まあ、普通だね」

と煮え切らない様子で、早々に赤ワインへシフト。料理にこだわるレストランにしては、若干気になるセレクションでした。

 そのときのモヤモヤが続き、その後しばらくしてから、ビヨー・シモンを購入して、飲みなおしてみることに。自分としては、かつての引っぱたくような辛さを期待してのことで、一段階上のプルミエ・クリュ ヴォーロランをチョイス。

 が……何故かこっちも「普通」。厳密には、先のワインより白ぶどうの香りも立ち、すっきりとした爽快感を感じる好ましいワインだったものの、かつて感じたような強烈なパンチ力はなく、良くも悪しくも「お行儀の良さ」が表面に出ていて、どうにも肩透かしを食らった気分。良いワインではあるものの、求めていたものと何か違う。

 まあ、単純な刺激を求めてシャブリを飲んでいる訳ではないので、これはこれで良いのですが、若い頃のあの打撃が口に残っている身としては、やや残念な気持ちになりました。

 若く飲み慣れていない自分が感じた、ただの思い込みなのか、或いは、ビヨー・シモンの姿勢が変わったのか、はたまた、偶々外れ年に当たっただけなのか、事情は今も分からず仕舞いなのですが、もう一度、あの「ピリッ!」と引っぱたくような、強烈な辛さを経験してみたいものです。該当するシャブリをご存じの方は、是非ご一報頂けると。

追記

 件のヴォーロランですが、あろうことか、抜栓した後飲み切ったと勘違いして、室内に放置していました。低温とは言え、その期間約二週間。「流石にダメだろう」と考えたものの、飲まないのも生産者への失礼を重ねることになると思い、恐る恐る飲んでみると……これがまた「普通」。抜栓したときと変わらぬ品質で香りも立ち、爽快感も残っています。冷やして飲んでいたら、もっと良かったかも知れません。

 奇天烈な環境に置かれても、依然として容姿を維持し続けるタフネスさに、改めて別方向から引っぱたかれたような気分になりました。

pagetop