不登校・引きこもりからの大学進学塾

結婚相手の親族に、引きこもりという「負」動産がある場合の注意点1

これは本業ではないのですが、電話やメール相談でたまにやって来る話題で、想定より要望が多かったテーマです。文がまとまりましたので、参考までに掲載しておきます。(多少フィクションを入れています。)

 

■相談事例■ 20代後半 女性 首都圏広告系中小企業勤務

「来年結婚予定相手のお兄さんが、高校のときから不登校で、それから15年以上引きこもりらしいのですが、結婚は進めてしまって大丈夫なのでしょうか? 自分から見る限り、結婚相手の彼は普通の人に見えるのですが、他に兄弟姉妹はいないようですし、相手の親が亡くなった後の親族は彼しかいないため、義理の兄の世話まで求められたりしたら嫌です。

結婚後は子供を作る予定で話し合っていますし、私達の家庭も、子供達が大学卒業するまでは余裕があるとも思えません。今のところ、子供が小学生に上がるタイミングで家を購入する予定で、しばらくの間はその積み立てをすることになっています。私も、出産後は非正規で仕事をするつもりで話し合っています。

彼の親御さんは、普段会う分には優しそうで、私のことも気遣って下さるので助かっているのですが、何故か会う度毎回レストランや料亭のようなところばかりで、彼の実家に行ったことが一度もありません。以前、その話を彼にしてみたのですが、何となく私を家に上げたくないような雰囲気です。

自分の実家も普通の家庭でしたし、名家でも何でもない平凡な家族でしたが、兄と妹も今は社会人と大学生で、引きこもりの兄弟がいる家庭の様子が良く分かりません。彼の家庭に文句を言うのは筋違いかとも思うのですが、事情が分からないだけに、彼のお兄さんの件だけがどうしても引っかかってしまいます。

彼のお兄さんが、私達の家族に関係してくるのだけは止めて欲しいと思います。近い親族は扶養義務があるとか聞いたこともありますし、お兄さんが私達家族に関与しないように言うべきなのでしょうか? 私の親も、彼のお兄さんの件だけは良く思っていないようですが、親族になるのですから、結婚するにあたって風波を立てたくないというのが本音で困っています。ご意見をお願いします」

 

■回答■

一般論ですが、長期高齢引きこもりが親族にいる場合の問題点を重要度(厄介度)の順にまとめますと、

1:相続や生活費等の経済的問題

2:家庭内・家庭外暴力の問題

3:当事者の世話に関する問題

となります。分量が多いため、何回かに分けて順に進めて行きましょう。

 

1:長期引きこもりが一人発生すると、戸建ての家が一軒消える

概算ですが、一般的な家庭内で、引きこもり一人を養うのに最低限かかる年間費用は、かなり低めに見積もっても、

食費:2万円×12=24万円

光熱費:0,5万円×12=6万円

被服:0.4万円×12=4.8万円

通信費:0.5万円×12=6万円

雑費:1万円×12=12万円

国民年金:1.6万円×12=19.2万円(60歳まで)

健康保険:扶養に入るとして0万円とする。

合計:72万円

となります。仮に、20歳から80歳まで引きこもり続けたとすると、総額約4,000万円。十分に家が建つ計算になります。

因みに、これは一般的な家計から見た本当に最低限の金額で、小遣いみたいなものは全く入れていませんし、怪我や病気もしない前提です。小遣いや怪我・病気の医薬品費等で月に数万円でもかかっていれば、全体の総額は5,000万円を超えても、特におかしい話ではありません。

また、これは実家で親と同居している場合で、別居や施設利用などで住居費がかかる場合は、1億円以上かかると見て間違いないでしょう。1億円となると極端に感じるかも知れませんが、平均的なサラリーマンの生涯年収が2~3億円ですので、引きこもり当事者がそれを自力でカバー出来ないことを考えると、1億円でもそこまでおかしな話ではありません。身の回りのことさえ自分で出来ないケースが多いことを考えると、寧ろ安い位かも知れません。

以上の例から分かるように、社会に出るつもりのない引きこもりがいるだけで、家計に対する圧迫は、最低でも家一軒分に相当します。

仮にあなたがその「引きこもり持ち家庭」と親族関係になった場合、非常に良い状況でも、一般的な家庭と比較して、相続金額が家半軒分消えます。(ただ、一般に、長期引きこもりを許すような親の場合、引きこもり本人に甘めな見積もりをして、引きこもり側にお金を残そうとするので、実際の損失は一軒分になる可能性が高いです。)

ただ、相続が減る程度なら、まだ可愛い方かも知れません。最悪のケースは、親の遺産を食い潰した後、義(両)親、義兄も合わせて、あなたの家族がまとめて面倒を見ることになる場合です。この場合、とてもではないですが、普通の家庭運営は不可能でしょう。

経験則的には、引きこもり当事者の生命維持費用は親が出すことになっていますので、あなたの場合、義理の両親に該当する方々が支払うことになるでしょう。(現在も支払っていると思いますが。)彼等が存命の場合には、日々の生活費という形で支払われるでしょうし、他界された際には、相続によって資産の移転が行われる場合が多いと思います。

問題なのは、その費用が不足する場合(義理のお父さんが退職されて余裕が無くなったり、相続金額が少ない場合等)です。その際の一般的な状況ですと、あなたの配偶者の方に順番が回ってきます。義理のお兄さんの存命期間にもよりますが、施設の利用という可能性等を考えると、相続以降最低でも3,000万円の「持ち出し」は見ておいた方が良いと思います。金額が大きく見えるかも知れませんが、これは、引きこもり当事者は仕事をしていないため、まともな年金が無い、最悪の場合完全に無年金であることを念頭に入れているためです。

■回答ここまで■

 

以上のような事情により、長期高齢引きこもりは、その年数が上がるほど、周囲の親族にとっての厄介な「金食い虫」になります。親が全てカバーしているうちはまだマシですが、親の死亡後の厄介度は容易に想像がつくでしょう。

現行の長期高齢引きこもり世帯では、既に相続や生活費、医療費の負担を巡って親族間の金銭トラブルが発生し、長期高齢引きこもりの死を切実に願うといった話が少数ながら出始めており、今後確実に増加すると見込まれます。ただ、仮に死を願う親族がいたにしても、これは不謹慎な話でも何でもなく、寧ろ一般的な感情と見るのが妥当でしょう。長期高齢引きこもりが浪費する5,000万円近い金額は、

〇一般的な居住用住宅一軒とその維持費

〇子供三人分の平均的教育費(大学まで)

〇サラリーマンの平均的生涯年収の20~25%

に該当します。長期高齢引きこもりがいるだけで、普通に生活している周囲の親族がマイホームや大学進学の夢を諦めたり、生活を切り詰めたりしなくてはいけなくなる可能性がある訳です。結果、口には出さなくとも、

「何もしないなら、頼むから死んでくれ」

と内心で思っていても不思議ではありません。

この種の話をすると、「人の死を願うとは何事か!」のような社会主義的理想論者の方々が常時一定数いらっしゃって、ときには「人の命の尊さとは!」のようなありがたいお題目を授けて下さるのでございますが、現実はそんなに甘いものでもないことを知って下さい。余裕が無いというのは、空想的(妄想的)理想論ではどうにもなりません。人は生きているだけでお金がかかりますし、それを自力で稼ぎ出せないなら、必ず誰かに迷惑をかけるのです。多少の迷惑はお互い様ですが、行きすぎた迷惑は、もはや犯罪と同義です。

長期高齢引きこもりのもたらす経済的問題は、「日々の最低限の義務さえ果たさない」という微罪を繰り返した結果、親族関係者からさえ死刑要求が出るほどの重犯罪者扱いとなっている現状を、端的に表していると言えるでしょう。

“結婚相手の親族に、引きこもりという「負」動産がある場合の注意点1” への3件のフィードバック

  1. サスライの天才長期高齢当事者32歳前後 より:

     
     結婚するにも覚悟が必要ということですね。見積もりが甘くて「こんなはずじゃなかった」ってなるのが一番ダメですからね。

    これは、引きこもりやフリーターでも一緒ですね、
    覚悟決めてはじめないと、どうしようもない気がしています。
     僕もそろそろ自分の人生を、しっかり生きていくことにします。

    • CARPE・FIDEM より:

      >サスライさん
       
      >結婚するにも覚悟が必要ということですね。見積もりが甘くて「こんなはずじゃなかった」ってなるのが一番ダメですからね。
       
       ですね。注意してても、見積もりの甘さってどこかで出てきますから、注意無しだと、とんでもないことに!
       
      >これは、引きこもりやフリーターでも一緒ですね、
      >覚悟決めてはじめないと、どうしようもない気がしています。
       
       多分、誰でも同じことだと思います。自分もそう(笑)。
       
      >僕もそろそろ自分の人生を、しっかり生きていくことにします。
       
       お気をつけて。焦らんで良いので、確実に手堅く行きましょう。

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