不登校・引きこもりからの大学進学塾

不登校・引きこもりと就職事情 ~就職出来ない人達に足らない要素~

就職出来ない元引きこもりの原因について解説します。

何がパンクだ パンクロッカー(Oi! Oi! Oi! Oi!)
何がフリーだ アルバイター(Oi! Oi! Oi! Oi! Oi! Oi!)
サラリーマンはえらいのさ 脱サラしてもえらいのさ
就職したことあるからさ オレら就職できねぇもんなあ!

宮藤官九郎「就職しやがれ!」

 脱ヒキ後、すぐに就職出来る元引きこもりがいる一方、一見、条件が揃っているようで、全く就職出来ない元引きこもりもいます。

参照:内閣府「第3章 困難を有する子供・若者やその家族の支援(第2節)」

就職に繋がる5つの要件

 CARPE・FIDEMは大学進学塾ですが、同時に不登校・引きこもり当事者に対する支援組織でもあります。そのため、脱不登校や脱引きこもりは当然のことながら、進学に加えた安定的な就業環境までをセットにして初めて、その業務が完了したものと考えています。とりわけ、就業までの環境整備には注意を払っており、過去20年近く、必要と思われる卒後サポートを無償で実施してきました。

 その結果から、脱ヒキ後の就業&永続化のためには、以下5つの要件

1:頭が良い(豊富な知識 回転速度 ユーモア)
2:体力がある(筋力 持久力 稼働時間)
3:特殊な技能がある(器用 画才 歌唱力 第二外国語 IT知識)
4:コネがある(親類縁者の事業 有名校の先輩後輩繋がり)
5:気合がある(教えを請うことに抵抗が無い 負けてもめげない 元気で声が大きい)

のうち最低一つを満たしている必要があることが判明していますが、今回はその各要素を順番に解説し、現不登校・引きこもり当事者への助力としたいと思います。

1:頭が良い(豊富な知識 回転速度 ユーモア)と就職に有利

 「頭が良い」とは、所謂「頭脳労働」に関与する場合の必須要件で、5要件の中では、所得水準・生活の安定度が相対的に高くなる傾向があります。以前掲載した、不登校 引きこもり の原因とその対処実例 ~共感は本当に必要なのか?~における「挫折したエリートA~C」や「稀代の詐欺師」「気まぐれな変人」「平均的な天才」がこれに該当します。

 CARRPE・FIDEMでの過去の事例における「豊富な知識」とは、医学部や薬学部・獣医学部等、専門職系の学部に進学し、そこで養成された知識を活かして就職する等のルートを指します。「進学校に在籍していた経歴がある」or「先天的に高いIQを保持している」子達には特に有効で、長年の検証によりルートが確立されていることから、最も安定度の高い選択肢と言えます。一方、経済的要件を中心として事実上の年齢制限があり、30歳以降でこの選択を取れるケースは極めて稀です。

 「回転速度」はやや抽象的ですが、経験則的には、「情報処理速度が速い」「要点の把握が迅速である」「新概念の習得効率が良い」がそれに該当します。スコア化しやすい「豊富な知識」ルートと異なり、就職に際しての既定ルートはありませんが、後述する「4:コネがある」とのセットで、経営側から一本釣りされるケースが度々見受けられます。ESでの一括採用とは異なりますので、大学等の学歴は問われないことが多いですが、大多数が御三家や新御三家、或いはそれと同等の中・高校在籍歴を持っています。CARPE・FIDEM内部においては、何故か大手広告代理店子会社からの採用事例が多い点が特徴です。

 「ユーモア」は、しばしば話術に長けた面白い人がそれに該当し、特段の学歴や経歴、知識が無くとも、その存在自体が組織の円滑化に不可欠であることから、積極的に採用される傾向にあります。ただ、不登校・引きこもり業界では滅多に発生しない存在であると同時に、天賦の才覚と思しき事例が中心であるため、狙って選択することは事実上不可能です。今のところ、営業職に就くケースが多く、人材紹介関連とIT関連企業が半々となっています。

2:体力がある(筋力 持久力 稼働時間)と就職に有利

 「筋力がある」「持久力がある」「稼働時間が長い」は、文字通りの意味で、平均よりも体力面で優れていることを指します。消防士や警察官への進路が比較的分かりやすい事例で、他にも建設業界や一部のインフラ整備、介護職がそれに該当します。

 1と比較すると採用の間口が広く、折からの人材不足も相まって、2023年段階では最も無理の無い選択肢となっています。一方、業界によっては、特有の体育会系意識が色濃く残っているため、不登校・引きこもり経験者との親和性に一定の疑義が生じます。人材不足の結果、職場環境が緩やかに変化することで、親和性の向上に繋がる可能性は高いですが、基本的には体育会系の意識でスタートした方が失敗は少ないようです。また、公務員や一部インフラ関係を除き、給与や社会保障、勤務条件等の待遇面で劣ることが多いため、その点は割り引いて考える必要があります。

 一般論として、不登校・引きこもり経験者における有望な選択肢の一つではありますが、CARPE・FIDEM内部では、公務員と建設関連企業が目立つものの、塾の性質からして総数は多くありません。

3:特殊な技能がある(器用 画才 歌唱力 第二外国語 IT知識)と就職に有利

 「手先が器用」「画才が高い」「歌唱力がある」は文字通りの才能で、普通科高校ではなく、工業・農業高校や芸術高校に進学するタイプに多いケースです。以前掲載した、不登校 引きこもり の原因とその対処実例 ~共感は本当に必要なのか?~における「寡黙な昭和のエンジニア」「歌って踊れるITエンジニア」がこれに該当します。

 1のような汎用性のある学力は有していないものの、職人芸や伝統工芸等では優れた才覚を発揮し、他にも美術系大学を経由して、デザイン・アート分野での就業が確認されています。また、両親の海外赴任・国際結婚その他が原因で、緩やかなマルチリンガル化(最近は「日・英・中」が主流。)が進んでいる場合には、そこが就職のきっかけとなるケースもあります。マイナーな知識を活用して、YouTubeその他で情報発信をする事例も最近は増えてきました。比較的安定度が高いのがIT系で、2023年段階では極めて少数ですが、大学を経由せずとも、自主学習のみで仕事を受注するフリーランスがそれに該当します。

 一方、良くも悪しくも当たり外れが大きく、経験則的には1には遠く及ばず、2以上の待遇を確保出来る事例も多くありません。一般的なサラリーマンの平均年収(450万前後)を超えれば大成功と見て良いでしょう。YouTubeその他の情報発信系は、あくまで小遣い稼ぎレベルのものが大半で、本業となるのは例外的存在です。

 現段階で、ある程度の安定性を確保しているのは、

CARPE→国公立美術系学部 → SONY 博報堂 教員
工業高校中退→CARPE→大手メーカー
CARPE→フリーランスITエンジニア

他数例に限られていますが、本人の特殊技能を根拠としている事例が多いため、再現性も高くありません。本人の性格や特技と一致している場合に限り有効となる選択肢です。

4:コネがある(親類縁者の事業 有名校の先輩後輩繋がり)と就職に有利

 一般的には否定的に評価されがちな縁故採用ですが、不登校・引きこもり経験者にとっては、これが大きな武器となることがあります。

 主な縁故採用は、「親類縁者」「出身校繋がり」「地元繋がり」の三パターンが中心ですが、不登校・引きこもり関連で地元繋がりの縁故が利用出来る事例はほぼ存在しません。結果的に、比率としては親類縁者が80%、一流有名校などの出身校繋がりが20%前後となります。

 親類縁者による縁故採用は、その所有している事業によって異なりますが、基本的にはほぼ全て自営業や中小企業での採用となり、農業・町工場・建設関連・飲食関連が中心で、稀に会計やIT関連が混じります。失業の可能性が低い点が長所ですが、零細企業が多いため、給与水準は低い傾向にあります。

 逆に、出身校繋がりの縁故採用は、有名校関係者の枠を利用することが多い点に加え、1の「頭の回転が良い」の条件と併用されているためか、待遇面でもかなり恵まれているケースが散見されます。1でもある通り、CARPE・FIDEMにおいては、大手広告代理店子会社からの採用が多く、現段階で最も上手く進んだのが、麻布高校&電通子会社の事例です。

5:気合がある(教えを請うことに抵抗が無い 負けてもめげない 元気で声が大きい)と就職に有利

 上記1~4の要素全てが無かったとしても、「教えを請うことに抵抗が無い」という謙虚な姿勢、「負けてもめげない」というタフさがあれば、社会復帰の可能性はあります。

 何歳であろうと、どのような経歴であろうと、配置転換や技術革新その他の事情により、学び直しが必要となる局面は確実に存在します。従って、生きていれば「素直に他者から教えを請い、失敗を恐れない」が標準的な姿勢となりますが、この基本を押さえていれば、誰かしら救ってくれる人は出てきます。傲岸不遜で脆弱なだけの人間に生きる術は存在しませんが、その逆を突き詰めると、意外なところで突破口が見えて来ます。

 尚、上記とは全く関係ありませんが、この「気合」要素で地味に有効なのが「元気で声が大きい」で、この点は決して馬鹿にしてはいけません。実際に社会に出てみると分かりますが、何もインテリ気取りの頭脳労働ばかりが仕事では無く、周囲を鼓舞したり、ただ元気にするだけでも評価される世界があります。「人間もまた野生動物の一種である」と考えれば、頭を一切使わずとも、「とりあえず元気で声を張れる」ことの重要性は理解されるでしょう。頭は二の次で良いのです。

 5の要素は、1~4の要素と複合的に利用するのが本来の姿ですが、最終手段としては妥当な位置にあります。まずはアルバイト程度でも構いませんので、「とりあえずの第一歩」を開始しましょう。

 

 以上が、CARPE・FIDEMにおける就業&永続化の主要要件です。経験則的には、1~4のどれか一つを持ち、追加で5を持ち合わせていれば、ほぼ問題無いことが分かっています。再現性の高低は項目毎に差がありますが、一つの参考にしてみて下さい。

全てを持ち合わせていない人は就職出来ないのか?

 尚、「1~5全てを持ち合わせていない場合はどうしたら良いのか?」という質問が稀に来ますが、回答は一つ。「他人の邪魔をすることなく、ひっそり生きましょう」です。

 自分の人生をどの程度ハンドリング出来るかは、基本的に個々人の才覚に依存します。何の才覚も無く、ただ社会に翻弄されるだけの生き方もあり得ますし、別段それが悪いわけでもありません。ただ、自分が上手く行かないからと言って、嫉妬や劣等感に狂って他人の妨害を企図するのは絶対に止めましょう。あなたにはあなたの人生があるように、他の人にも彼等なりの人生があります。大金持ちになる必要もありませんし、高い身分を得る必要もありません。ただ、「自分のことは自分で対処し、極力人様の世話にならないようにする」という気持ちが最も大切です。アルバイトでも何でも構いませんので、最低限自分の食い扶持は自分で稼ぎ、周囲の迷惑にならない程度の謙虚な生き方を心掛けて下さい。

 残念なことに、不登校・引きこもり業界には、人権と弱者救済を錦の御旗にして生活保護を称揚し、「働かなくて何が悪い」と嘯く人々が支援者側にも存在します。ただ、彼等の大半は時代遅れの共産党・旧社会党関係者で、その主張が彼等の利益になるから語っているだけのこと。実際の当事者の利益とは無関係です。社会保障が細る今後の日本で、「働かなくても生活保護で」が通用しないこと位、少し考えれば分かると思います。

 安い思想に流されることなく、自分の人生は自分で切り拓く力強さを持って下さい。自分で切り拓くことの楽しさを知れば、彼等の主張がいかに薄っぺらで陳腐なものか理解出来るでしょう。他人から施しを受け、その削減に怯えながら生活している自分の姿を想像してみて下さい。そこに人間らしい尊厳などありはしません。どんなに貧しく、出来ることが少なくとも、自分で自分を支えているというその事実こそが、人間としての尊厳の源泉となります。

 今は、自由度の高い豊かで面白い時代です。折角の人生です。この時代の面白さを全力で享受することを積極的にお薦めします。

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