お酒好きな人なら、誰しも「思い出のワイン」ってあると思うのですが、自分の場合、それは「ドメーヌ・ビヨー・シモン」の「シャブリ」。
別段、取り立てて高級なものでも何でもないものの、生まれて初めて、自分の稼いだお金で買ったワインで、右も左も分からない状態から、店員さん(確か、西武だったかな?)に言われるがまま、生ハム・チーズと一緒にお買い上げ。
が、20になるかならないかの青年が飲むには早かったのか、ボトルを空けるのに、随分難渋した記憶があります。兎に角「ピリッ!」と引っぱたくような、強烈な辛さが印象に残っていましたね。
それからしばらくして、親族の付き合いで、小洒落た小さなホテルに泊まったときのこと。料理の質も良く、ワインへの期待も高まってきたところ、偶々リストにシャブリが。記憶が定かではありませんが、確かプルミエ・クリュだった気がします。
ただ、どうにもこのワインが面白くなく、シャブリにしては腑抜けていて、料理の質とのバランスが微妙。他の親族も等しく、
「うん……まあ、普通だね」
と煮え切らない様子で、早々に赤ワインへシフト。料理にこだわるレストランにしては、若干気になるセレクションでした。
そのときのモヤモヤが続き、その後しばらくしてから、ビヨー・シモンを購入して、飲みなおしてみることに。自分としては、かつての引っぱたくような辛さを期待してのことで、一段階上のプルミエ・クリュ ヴォーロランをチョイス。
が……何故かこっちも「普通」。厳密には、先のワインより白ぶどうの香りも立ち、すっきりとした爽快感を感じる好ましいワインだったものの、かつて感じたような強烈なパンチ力はなく、良くも悪しくも「お行儀の良さ」が表面に出ていて、どうにも肩透かしを食らった気分。良いワインではあるものの、求めていたものと何か違う。
まあ、単純な刺激を求めてシャブリを飲んでいる訳ではないので、これはこれで良いのですが、若い頃のあの打撃が口に残っている身としては、やや残念な気持ちになりました。
若く飲み慣れていない自分が感じた、ただの思い込みなのか、或いは、ビヨー・シモンの姿勢が変わったのか、はたまた、偶々外れ年に当たっただけなのか、事情は今も分からず仕舞いなのですが、もう一度、あの「ピリッ!」と引っぱたくような、強烈な辛さを経験してみたいものです。該当するシャブリをご存じの方は、是非ご一報頂けると。
追記
件のヴォーロランですが、あろうことか、抜栓した後飲み切ったと勘違いして、室内に放置していました。低温とは言え、その期間約二週間。「流石にダメだろう」と考えたものの、飲まないのも生産者への失礼を重ねることになると思い、恐る恐る飲んでみると……これがまた「普通」。抜栓したときと変わらぬ品質で香りも立ち、爽快感も残っています。冷やして飲んでいたら、もっと良かったかも知れません。
奇天烈な環境に置かれても、依然として容姿を維持し続けるタフネスさに、改めて別方向から引っぱたかれたような気分になりました。
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1200ccの大型バイクに跨がり、泊まりがけで近隣をツーリングしていたときのこと。
コンビニで休憩していると、不思議な位に、様々な人々から話しかけられる。或いは10代の若者、或いは30代の同世代、60代の父親世代に、どう見ても90前後の爺さんまで。
「これ、デカいっすね。リッターっすか?」
「結婚してる? 子供は? 自分は、家族と仕事から逃げるために乗ってる(笑)」
「ナナハン乗ってたけど、少し前に車庫から出したらフラついちまって、奥さんに『止めろ!』ってさ・・・・・・」
「わしゅろんわのふにときゃあには、ほっとンけなタイヤが(解読不能)」
普通、自分みたいな不気味な中年おじさんに話しかける物好きはいないから、接点は確実にバイク。でも、何とも不思議な付き合いよな、喫煙所の繋がりみたいな。まあ、タバコ吸わないけど。
バイク乗った後に車に乗ると思うけど、車は本当に便利よね。坂道発進でもすぐ走るし、クラッチは重くないし、寒くないし荷物載るし疲れないし。普通考えたら、絶対に車の方が良い。
でも、車でバイクみたいな繋がりを得るのは、ちょっと難しいと思う。レストア必須の旧車ならまだしも、それが仮にレクサスやメルセデスとかでも、普通は繋がらない。車はやっぱり実用目的だし、実用に趣味性の繋がりは要らんし。
エンタメとしての性質が強いから、バイクは接点を生むんだろうな、キモいおっさんに対してでも。キモさをカバーしてくれる存在。コレ、案外重要なんじゃないかな。
不登校や引きこもりの場合、どうせ暇なんだから、免許の1つでも取って、適当にツーリングしてみるもの良いと思いますよ。
「何してんの? 学生?」
とか聞かれるの怖い、なんて話も聞くけど、そんなの、
「ニートで~す! デュフフ!」
とか言ってりゃイイと思うよ。どうせ、キミのことなんて誰も気にしてないし、気にするような生真面目な人間は、バイクなんてヤクザな乗り物乗らんと思うし。
キモいハゲデブなおっさんでも許される乗り物が、バイク。なら、不登校・引きこもりの若者で、許されないはずがないでしょ?
先日、行きつけのバーで、卒業生や在籍生数名と歓談。
うち一人から、引きこもりという転落の始まり、その原因の究明に加え、解決に至るまでの流れを聞く。自身の至らない箇所も、転落に導いた者の存在もニュートラルに評価し、次の人生に続ける姿勢を見て安堵する。
また別の一人からは、家業と自身の進路との整合性と、その発展可能性について相談を受ける。一人を好む彼の性格が、複雑かつ拡大する商圏のことを、同時に、少なからず家族経営の匂いの残る家業のことを鑑みれば、いかに不都合な産物であるか実感している模様。手持ちのカードの不利を知った上で、摺り合わせの方法を問うあたり、将来性を感じる。
思えば、自分の出来ることも、もう随分少なくなった。場所を提供し、類似する人間を集め資金を提供し、各自勝手な成長を促す。卑怯や不誠実は糾弾するも、多少の失敗には目を瞑り、揺るがない人格の土台を養成する。
安定の中で、随分自分も怠惰になった。放置しても回転する組織は、システムとしては完成度が高いが、運営する側の成長を阻害する。
勝手に成長する青年達を見て、中年にもそれなりの奮起が必要と、ワイン片手にふと思う。
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