不登校・引きこもりからの大学進学塾

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不登校 引きこもり→医学部受験組が気をつけていること ~英語編1~

受験英語の成長がピタリと止まる原因について説明します。

A period of rapid social and economic change is bound to be accompanied by confusion and doubt about existing values, institutions, and practices.  The inability of people to find satisfaction in accepted modes of behavior causes widespread questioning and searching examination.

「社会や経済が急激に変化する時代では、必然的に既存の価値や制度、慣習に対する混乱や疑義が伴うものである。従前の然るべき行動様式を人々が甘受出来ないがために、疑惑は広がり、徹底的な検証が加えられることになる」

大阪大学の入試問題より

 どういうわけか、共通テストで120~150点前後までは進むものの、その後ピッタリと成長が止まり、どれほど努力し時間をかけても、成績が微動だにしないどころか、寧ろ低下を招く気の毒な子達が少なからず存在します。

近年の英語出題動向

 他の科目同様、英語も2021年度からセンター試験と入れ替わる形で共通テストがスタートしました。変更点は多々ありますが、ハイライトは以下の二点、即ち、

1:アクセント・文法・整序英作が廃止され、リーディングとリスニングのみに
2:リーディング:リスニング=1:1の配点比率に

と見て大筋問題無いでしょう。

 賛否はありますが、個人的にはこの変更は好ましいことだと考えています。アクセント問題については、兼ねてより指導側・学生側問わず批判の対象になっており、仮に東大理三受験生でも、コスパの観点からほぼ放置(運が良ければ満点、多少外しても196~198)になっていましたし、文法についても、一部に時代遅れの問題が出題されるなど、実情にそぐわない状況が続いていました。読解の総量を増やすと同時にリスニング比率も上昇し、学習スタンスがより実用的な方向にスライドしたのも、学生の社会人後の実用を見据えての設定と思われ、制作者側の誠意と熱意が読み取れます。

後になってから判明する英語力格差

 一方、時を同じくして「中堅層の学生が上位層に食い込めない」というトラブルが散見されるようになりました。かつては、「中堅国公立理工系やMARCHレベルが確保出来たので、ちょっと頑張って東大や東工大、医学部や早慶を狙ってみる」のような話は特に珍しくも無かったのですが、最近は少なからぬ受験生の間で、この2者間に目に見えない大きな壁が発生しています。特に、共通テストの英語が150前後を上限に全く動かなくなると同時に、2次試験でも上位層への階級上げが遅々として進まないケースが度々見られ、中堅層にとって大きな負担になっています。

 意外なことかも知れませんが、この変化を生み出した最大の原因を探ってみると、他ならぬ新形式の共通テストに行き着きます。一見すると、時代に即した好ましい変化をもたらしたかに見える共通テストですが、想定しなかった場所で想像以上の事態が発生している現状を鑑みるに、これはこれで何らかの問題を内包している可能性があります。

 一体、共通テストの何が問題だったのか? それを知るためには、まず英語の主要カテゴリと、各カテゴリ毎の上位層スコア格差について理解する必要があります。

英語試験の主なカテゴリと差のつくポイント

 一部の特殊な大学・学部を除き、現在の大学入試は、

1:英語の基本構造を学ぶ「英文法」(ほぼ差がつかない)
2:1の英文法を利用して、英語を日本語に翻訳する「英文和訳」(差がつく)
3:2の英文和訳を平易な長文にして読み進める「長文読解」(ほぼ差がつかない)
4:3の長文読解を音声認識で処理する「リスニング」(差がつく)
5:1の英文法を利用して、日本語やデータを英語に翻訳する「和文英訳(英作文)」(大きく差がつく)

の5形式に分類されます。( )の部分は、上位層に属する受験生間でのスコア格差を表しています。相互の関係性をもう少し細かくまとめると、大筋以下のようになります。

 図を見ると分かるように、1の「英文法」は全ての中核であり、そこから段階的に上位互換の形式を生み出しています。一般的な進学校の中学段階で英文法が優先されるのは、英文法が全ての形式のコアであり、この点が揺らぐと、後詰めの発展的形式が足場から瓦解するためです。

 次に、上位層の各カテゴリ毎のスコア格差を見てみましょう。決定的に差がつくのは5の「和文英訳」で、これは特に医学部受験では常識です。次が2の「英文和訳」、4の「リスニング」と続き、1の「英文法」と3の「読解」は、分量や存在感の割に格差は発生していません。ただ、これには上位層特有の事情があります。

英語上位層のスコア獲得状況

 平均的な理系上位層の学生は、基本的な文法事項を中学時代から手堅く学習しているため、標準的な英文法で差がつくことはありません。逆に、早慶の文系学部で出されるようなキワモノ系英文法は、学習上のコスパが悪いことから、わざわざ着手する子がおらず(数学の方が遙かに効率が良い)ほぼ全員が放棄するため、こちらも差がつきません。読解については、難易度が高くとも低くとも、上位層ではほぼ全員がそこそこ無理なく解釈し、大きく外すような箇所も乏しい(外すときは全員外す)ため、差がつきません。

 他方の英文和訳は、英文法や基本的な構文の知識を入れただけではダメで、名詞構文や無生物主語、倒置・省略の処理方法、そして何より「副詞(句・節等広義のもの全て含む)」という大きな山場を越えなくてはなりません。結果、どうしても添削の必要性が出てくるのですが、この添削の総数がスコアと大まかに比例するため、特に難易度が上がると少なからぬ程度で差が開きます。リスニングはまた別の理由があり、出題する大学としない大学とでバラツキがあることから、仮に医学部と言えど、早期から対策を行っている子と後手後手に回った子とでは必然的に差がつきます。

 そして最後の英作文。これは英文法の完全な上位互換で、中学1年から高校3年まで、基本的な文法はほぼ穴無く確保していることが大前提の上、指定型英作に自由英作、図表の読み取りにそれぞれの表現方法と、非常に幅広い対策が求められます。しかも、その上で記述が適切かチェックするための添削が必要となりますので、英文和訳以上の負担感があります。(無論、スペルミスも許されません。)結果的に、上位層でも決定的な差がつくことになります。

 つまり、上位層で差がつくのは、英文法を基盤とした「英文和訳」と「和文英訳」、読解系学習最終段階で、到達までに時間のかかる「リスニング」の3項目が中核であり、英文法で大きな穴のある学生には、最初から勝ちの目がありません。

共通テスト英語での実情

 一方、現在の共通テストで出題されている形式は、3の長文読解と4のリスニングのみで、1の英文法や2の英文和訳,5の和文英訳はそもそも最初から存在しないため、上記のような上位層格差は発生しにくくなっています。無論、3も4も1と2をベースとしており、全くの無知なら3も4もままならないのは事実ですので、3と4内部に1や2を内包し、直接問うことはせずとも、間接的に評価していると考えれば、特段無茶なこととも言えません。ただ、最低限「誤読」でない程度の読解が出来れば、厳密な学習は必要とされず、「何となく学習していても、何となく点になってしまう」設計になっているのは事実でしょう。

 しかしこの結果、大半の中堅層の学生は文法を軽んじるようになり、即席的な長文読解とリスニングに学習を傾斜させました。無論、この傾斜が後の絶望を生むとは、知る由もなく。

中学一年から発生する英語力の分岐

 簡単なサンプルを出してみましょう。以下の文章を読み、日本語に変換してみて下さい。内容は中学一年の問題で、特に難しいものはありません。

6:The train for Kyoto leaves Tokyo at noon.

 ここでのテーマは、形容詞として機能する前置詞句です。一般に、副詞として機能する前置詞句は、事細かに修飾ー被修飾関係を考える必要はなく、寧ろ下手に考え始めると、重要な形容詞→名詞の修飾関係が疎かになるため、私は推奨しないようにしています。(これは、副詞句・節を含む副詞全般に言えることですが。)

 正しい訳と文章の構成は、以下のようになります。(訳の順序は○番と記載しています。)

7:「京都行きのその電車は、正午に東京駅を出発します」

 形容詞と名詞は、前置にせよ後置にせよ、特殊なケースを除いて「形容詞(先)→名詞(後)」の訳順になります。その後は、Sに続き、文章の後方から順に訳すのが基本となります。余程おかしな構成で無い限り、この手順でほぼ無理の無い日本語が生成されます。

 一方、文法がぞんざいになっている学生に同じ質問をすると、大筋以下のような回答が来ます。

8:「その電車は正午に東京を出発して、京都に向かいます」

 この回答は、大意としては間違ってはいないのですが、恐らく形容詞→名詞の修飾が読み取れないまま、「Sの次は文章の後方から訳す」という中学生時代の流れをそのまま踏襲しているものと考えられます。そこそこ読解力がある子でも散見されるパターンですが、文型の概念があるだけ、まだ救いようがあります。

9:「その電車は京都に向かって、正午に東京を出発します」

 この回答も、大意としては間違っていないのですが、とりあえず主語は理解しているものの修飾関係が分からず、8と同様に前置詞のforを動詞っぽく繕って、何となくそれっぽい訳にしたパターンです。こちらも頻度が高めです。

10:「その電車は京都を出発して、東京へ正午に行きます」

 この回答は確実に0点で、そもそも事実関係からして合っていません。推察では、それぞれの単語を日本語にバラバラに変換し、想定されうる「あり得そうなシチュエーション」を頭で想起し、それらしい日本語にしたパターンですが、全く意味の無い最悪のタイプです。所謂「英語がダメな子」の大多数が、この形態を取っています。

手堅い英文法力の上位層と揺らぐ中堅層

 上記の例を踏まえた上での経験則ですが、東大や医学部、早慶他上位層の群に食い込む子達を見ていると、特殊な事例を除いてほぼ確実に7の回答を手堅く出して来て、8~10のパターンに陥るケースはまず見ません。恐らく、彼等は中学時代から基本的な文法の学習を反復しており、訳の定石が徹底的にすり込まれているため、定石ピッタリのケースでは他の訳など最初から浮かびようがないのでしょう。

 一方、地方国公立やMARCHレベルになると、8、9のケースが目に見えて増えてきます。大意としては間違って無いものの、定石の手順が疎かになっているため、スコア面で一段階劣勢になります。とりあえず意味が取れていれば問題無い共通テストでは表面化しませんが、厳密な英文和訳が求められる国公立の上位群に挑むようになると、途端に成績が下がり、地方国公立やMARCHレベルで頭打ちになります。

 尚、それ以下の群になると、10のケースが特に珍しくも無く、中学一年のレベルでさえ完全な誤読が混じり始めます。この群に転落している場合、一度中学生のレベルに立ち返り、基礎の反復練習を行った方が遙かに効果的です。

 今回の例は中学一年で学ぶシンプルで簡単な例ですが、似たような課題が全ての学年で雑多に発生し続けるため、最終的には途方も無い格差が生み出されます。

全ての努力が無に帰す、恐怖の「フィーリング英文読解」

 これまでの指導経験から、私はこの8~10を「フィーリング読解」(特に法則も手順も無く、何となく日本語の対訳をそれっぽく繋げて解釈している「お気持ちだけ」の読解)として、指導の際に強く戒めています。とりわけ10は最低の状態で、どれほど努力を続けても一向に成果が出ず、学習自体が無意味です。この状態を維持したままの学習なら、寧ろやらないで遊んでいた方がまだ有意義でしょう。

 話を戻しましょう。2021年度の共通テストから、この「フィーリング読解」にハマった結果、地方国公立・MARCHレベルで成長が止まり、その上に上がれなくなる子達が明白に増加しました。センター試験の時代では文法での問いかけが存在したため、最低限の文法意識も残っていたのですが、最近はそれが目に見えて減少し、酷いケースになると、指導側が「多読・速読」を理由に、雑な読みを積極的に推奨することがあるようで、結果、多少の修正で成長を取り戻せるはずのレベルの子達でも、驚くほど成果が出なくなりました。

 以下は、彼等に対してヒアリングを行った結果ですが、このトラップにかかるまでの経緯は至ってシンプルです。

11:共通テストは読解中心なので、中学段階での文法学習が疎かになり、「とりあえず意味が大体取れていればOK」が常態化する(この段階でかなりの誤読が混じる)
12:そこそこ勘の良い子は、それでも多少はスコアになるため、単語だけを学習し、それらしいフィーリング読解を続けたまま大学受験を迎える
13:しかし、フィーリングでも何とかなるのは地方国公立・MARCHレベルまでで、そこから先は厳密性が要求される点に気付く
14:一方、英文法の基礎学習をほぼやっていないため、補足での対処が出来ず、同時に共通ではそこそこのスコアが取れるため、学習方針の転換に前向きになれない
15:結果的に、上位層へ食い込むことは諦め、地方国公立・MARCHレベルで受験を迎える

 彼等の話を聞いていると、これは試験システムと指導側の都合に踊らされただけの気の毒な結果でしか無い現実に至るのですが、修正は容易ではありません。10のように、壊滅的に理解していないケースなら、まだ「本当に最初から徹底的に復習しましょう」と提案して再起も促しやすい(実際に必要な期間はせいぜい半年前後)のですが、8や9のタイプはなまじ理解が進んでいるが故に、「本当に最初から徹底的に復習しましょう」と言われても提案に乗る子は半数もいません。期間としては三ヶ月も必要無いのですが、これまでの中途半端な成功体験が、再生学習に二の足を踏ませるのです。

英語力要請の暫定的総括

 以上のように、上位層と中堅層は、文法学習に対する意識に決定的な差があります。前者は、試験システムがどうあれ、過去重要とされてきた項目を愚直に学び続けた一方、後者は表層的な試験システムの変更に付和雷同し、要諦を放棄してお手軽な成果に飛びついた。後者が前者に歯が立たないのは、言うまでも無いことでしょう。

 センター試験の時代は、文法学習のベースが最低限維持されていたため、そこを足掛かりにして、中堅層から上位層へのアップグレードが比較的容易でした。しかし、共通テスト以降、文法学習のベースは時代遅れの産物とされ、目先のスコアを追うがあまり、上位層に進む足掛かりを放棄する例が増えました。安易な放棄は、本来ならより高いポジションに立てる子達からその可能性を奪い、格差の固定化を助長するに至りましたが、恐らくこの傾向は今後も続くでしょう。

 不登校 引きこもり業界でも、長期化して破綻しているのは、大半が後者のような浅はかな発想に飛びついたケースです。大した才覚も無いにもかかわらず、他人からの助言を見下し、上っ面だけの利益に飛びついて死を早めた引きこもりは、特に珍しい存在でもありません。浅はかな思考は学習にも表れますし、長じては、その人生観にも繋がってきます。

 特異的な才覚を持ち合わせた天才は別にして、せいぜい凡百の秀才止まりを自認しているなら、偉大な先人の知恵を有効活用する以外に勝ちはあり得ません。システムがどう変化しようとも、歴史の試練に耐えた成果は、素直に吸収するのが利口というものですし、自分だけでなし得た評価など、所詮高が知れています。手遅れになる前に、謙虚な姿勢で基本に立ち返るようにしましょう。

 では、具体的にどのような形で学習の誤りを修正すれば良いのでしょうか? 次回は、それをテーマとし、停滞に悩む子達への一助としたいと思います。

参考:「不登校 引きこもり→医学部受験組が気をつけていること ~数学編~

不登校 ・引きこもりツイート再掲載(マイルド不登校関連)

マイルド不登校に関する寸感です。

 不登校 ・引きこもり 関連の相談が増え過ぎて、個別の対処が難しいケースが増えてきました。ここ最近は、どう見てもメディアや不登校新聞に踊らされただけの「マイルド不登校」(特に理由も無いのに不登校になっているケース)が過半数を占めており、CARPEの本業を圧迫気味です。

 そこで、過去のツイートで再利用出来そうなものを抽出して掲載することにしました。相談の前に、一度ご確認をお願いします。

参照:「マイルド不登校」雑考

 要点だけ先にまとめると、

1:いじめ・学級崩壊・家庭崩壊・病気以外の理由で不登校を選択するのは止めましょう。該当しないなら、多少無理してでも黙って学校に行きなさい。その方が最終的には得です。

2:「不登校でも大丈夫」はほぼ嘘。実際は、社会に出るときのハードルが上がるだけです。

3:現実的には、不登校で人生が好転するケースは10%程度で、他はただ落ちているだけです。

4:親御さん側は、十分に子供の話を聞いた上で、1に該当しないなら「学校へ行け」と言う勇気を持ちましょう。

5:「不登校でも大丈夫」と主張する団体・組織とその親会社(場合によっては政党)を精査してみて下さい。大半が、不登校が増えると儲かる人々です。

6:大多数の通信制は、高卒資格を「買う」ことが目的になっており、実際の学力はつきません。

7:通信制で上位の大学に進学してる子は、ほぼ全て元々有名進学校出身か、進学塾・予備校に通って合格しただけです。

8:不登校は想像以上に体力を奪います。成長期に運動しないことの意味を考えて下さい。

9:中堅高校以下の高校生が不登校になると、その後の挽回はかなり難しくなります。最も条件の良い高校推薦での就職が消滅するためです。(詳しくは、マイホームアフロ田中でも読んで下さい。)

10:社会は有能に優しく、無能に厳しいです。どのような理由であれ、不登校は確実に無能に向かいますので、有能化の見通し無しに継続してはいけません。

不登校・引きこもりの原因とその対処実例 ~共感は本当に必要なのか?~

不登校・引きこもりの類型と対策について解説します。

「役場(?)の福祉の人間が家に来たときは、そいつらと親にマジで殺意沸いた。
『お前、勝手に俺を弱者扱いしてんじゃねえよ、殺すぞ』と」

とある飲み会での一幕

 至って当然のことですが、目先の日常が順調に進んでいるにもかかわらず、わざわざ狙って塞ぎ込む人は、世界広しと言えどほぼ存在しません。

特に必要とはされない不登校・引きこもりへの「共感」

 CARPE・FIDEMは、かれこれ20年近く不登校・ 引きこもり 経験者に対して総合的な支援を継続してきましたが、経験則ながら、ほぼ確実に言えることがあります。

「不登校・引きこもりは、周囲からの要求を満たせない者から発生しやすく、要求を満たすだけの十分な能力が確保出来て初めて、恒久的に解消される」

 つまり、学校なり会社なり、社会から要請される最低限の能力下限値というものが各所に存在し、それ以上の人間は不登校にも引きこもりにもなりにくいが、下限値以下の人間は不登校・引きこもりになりやすい、ということです。

 考えてみれば当然のことで、頭も良く、話も巧みで容姿にも恵まれ、家庭も温和で学校も楽しく通っている子が、ある日突然不登校になるケースは極めて稀です。10~20代の青年期の場合、自我の確立の過程で小さなトラブルがあって、一時的に塞ぎ込むことは誰にでもありますが、仮にその場合でも、条件が良い程改善確率は上がります。

 また、家族や学校からの要求が緩く、進学や就職への制限が少ない家庭では、不登校・引きこもりも発生しにくいですが、過剰な教育熱で、進路先を厳しく限定するような家庭では、不登校・引きこもりの発生率も必然的に増加します。要は、「家庭や社会から与えられた要求を、子供が満たせるかどうか」が、全ての鍵となります。

 よって、巷間流布著しい「不登校・引きこもりへの理解がある」「不登校・引きこもり経験者へ共感力が必要」といった言説は寧ろどうでも良く、仮に支援者側が当事者に全く共感を示さなくとも、欠損した能力の向上を最優先課題として、抱える問題にプラクティカルに対処するなら、最終的な改善率は遙かに高くなります。共感が無用とは言いませんが、共感の持つ力は、改善における実情としては微々たるものである現実を忘れてはいけません。陳腐な共感や馴れ合いを求め、手遅れになった長期高齢引きこもりは、もはやゴマンと存在するのですから。

不登校・引きこもりの改善に関する具体的要素

 では、具体的にどのような要素が、人を不登校・引きこもりへと誘うのでしょうか? ここでは、その主要要素を紹介し、いくつかの具体例を紹介しながら、現実的な解決策を提示することにしましょう。要素は、とりわけ現場で表面化しやすい「基礎学力」「対人関係」「基礎体力」「容姿」「家庭環境」「教育環境」「青年期の課題」の7要素に分類して評価しています。

 具体例は、当人の許可を得ているか、或いは実際に存在した複数名の実例を個人が特定されないレベルに抽象化してありますが、実用には耐える程度のものを使用しています。また、各要素の評価基準については、冗長になるため文尾に記載してあります。予めご了承下さい。

具体例1「挫折したエリートA」

「挫折したエリートA」CARPE・FIDEM参加前後のレーダーチャート

経緯

「挫折したエリートA」は、先天的に高いIQを誇っていたものの、劣悪な家庭環境が祟り、教育水準も低調な状態が続いていた。教育環境下にいた期間は極めて短く、それがために基礎体力の不足にも長期間悩まされた。知能は高い一方で、人とのコミュニケーションは積極的ではなく、限定的な付き合いしか好まない孤高さがある。

対処

「挫折したエリートA」に必要なのは、同程度の教育水準と知能を持ち合わせる集団との会合であり、本人もそれを望んだことから、とある国公立大学の医学部医学科に進学した。大学進学後の困難を想定し、CARPE・FIDEM在籍時には、基礎学力の養成だけでなく、最低限の友人関係構築の手助けを行った。また、同タイプにありがちな青年期の課題問題は、特に際立った対処はしていないものの、教育水準の上昇と平行して改善され、概ね問題無い水準に至った。

現在

 大学を卒業した後に結婚し、現在は勤務医として業務にあたっている。

具体例2「挫折したエリートB」

「挫折したエリートB」CARPE・FIDEM参加前後のレーダーチャート

経緯

「挫折したエリートB」は、地域の名家の生まれであり、親族は地主以外にも多様な専門職に従事しつつ、名望家として代々評価されていた。本人もそれに漏れず、一流有名中学に進学するが、親との関係悪化に加え、過大な自意識に悩まされて高校を中退した。

対処

 挫折の原因が家庭環境と当人の自意識に集約されているため、学力の養成は最低限に留め、自主管理を旨とした。支援側の主立った業務は、複雑に絡み合った家庭環境の再構築と、当人の抱える自意識過剰の低減を中核とし、上記2点の改善を見てから大学進学へ駒を進めた。最終的には、国立大学医学部を含め、多数の私立大学医学部に合格した。

現在

 私立大学医学部に在籍し、最上位の成績を上げている。また、同業の親族との関係も改善し、かつてからは想像も出来ない程に自立している。

具体例3:「挫折したエリートC」

「挫折したエリートC」CARPE・FIDEM参加前後のレーダーチャート

経緯

「挫折したエリートC」が、何故CARPE・FIDEMに来たのかは定かではないが、推察では統合失調症発症後の社会復帰活動の一環だった可能性が高い。少なくとも、参加段階では天才的閃きは無いが、オールラウンドに活動出来る安定性に加え、目立った問題も無く、友人関係も円滑であった。ただ一つだけ、「裏切る自分」に悩まされていた。

対処

 本来なら医師の仕事だったのだが、「大きな問題は解決したから」と、本人が強く拒否したため、在籍時は改善までの「時間稼ぎ」を旨とした。判断は正しかったようで、「裏切る自分」は段階的に鳴りを潜め、普通の学生へと回帰した。年齢のこともあり、進路先は医療系の専門職を薦めたが、本人の希望を優先して理工系学部を選択した。東工大と慶應義塾大学、早稲田大学その他に合格したものの、何故か東工大ではなく、慶應に進学した。理由を聞いたところ、「彼女が欲しいから」と回答した。

現在

 大手外資系企業に勤務し、結婚して二人の子供がいる。日本にいる時間よりも、海外にいる時間の方が長い点を嘆いている。

具体例4:「稀代の詐欺師」

「稀代の詐欺師」CARPE・FIDEM参加前後のレーダーチャート

経緯

「稀代の詐欺師」は、注意を要する人物であり、上記チャートのみでは測れない要素が多分に存在する。甘いマスクと巧みな話術、そして無尽蔵にも見える体力を持つ、典型的な人たらし。名門中学出身で、天性の才能としか思えない当意即妙を持ち合わせているが、正当な方向に活用しようとはせず、何かを「欺く」ときに、その真価が遺憾なく発揮される。発揮され過ぎた結果、学校に居場所が無くなり、不登校に至る。

対処

 愚かではあるが憎めない性格故、学力養成や家族関係の改善等の根本的な対策は早々に諦め、その才覚が活用出来る分野への斡旋を行うことにした。ただ、最低限の社会常識や道徳に対する意識は必要であるため、その点のみに注力した。

現在

 大手広告代理店の営業職として勤務している。結婚し、現在一児の父。

具体例5:「寡黙な昭和のエンジニア」

「寡黙な昭和のエンジニア」CARPE・FIDEM参加前後のレーダーチャート

経緯

 生来、好奇心の範囲が狭いためか友人も少なく、寂しい幼少期を過ごした。小学校まではギリギリ通ったものの、中学からは完全に適応困難に陥り、家に引きこもる。機械いじりが好きで、中学段階では金属加工した簡単な機械を自作出来たが、評価者はほぼ存在しなかった。現状の変更を求め、CARPE・FIDEMにやって来た。

対処

「寡黙な昭和のエンジニア」は、管理職たるオールラウンダーとしてはあまりに脆弱で無能力だが、本人の関心が及ぶ狭い世界には、人並み外れた才覚を示す。関心が狭過ぎるが故に、標準的な学校教育には適合しないことが多く、改善の見込みも乏しい。そのため、成長の見込めない範囲は必要最低限を残して切り捨て、関心のあるエリアへ教育資源の大多数を投入した。長期間にわたる話合いの結果、建築分野に活路を見出し、地方国公立大学の工学部建築学科に進学した。

現在

 地方国公立大学の大学院生であり、院に入る前には、当該分野におけるいくつかの賞を獲得しており、最優秀賞も受賞している。女性関係に乏しい点が現在の悩みで、彼等なりに努力はしている様子が見受けられる。

参照:「スイス機械産業の伸長は、発達障害系引きこもりの助けとなるか?

具体例6:「気まぐれな変人」

「気まぐれな変人」CARPE・FIDEM参加前後のレーダーチャート

経緯

 教育熱心な家庭で育てられたが、どこか掴み所の無い子供で、両親も困惑することが多かった。親の薦めで名門私立高校に進学したものの、反抗期が始まるや即座に中退し、家族に暴力を振るうようになる。その後、本人が「俺ココ(CARPE・FIDEM)に行く」と親に宣言し、勝手に申し込みを行うが、当の本人がおらず、出席しても教室に隅で壁に向かって小さくなっていた。

対処

 典型的な「変人」だったため、当人の才覚を把握すべく、暫く放置して様子を見た。話の出来る友人が増えるに従い、常人ならざるユーモアの持ち主であることが発覚したが、進路先の選定には難儀した。理由も無く教室で激昂し、叱責されると泣き出すこともあった。「周囲の友人が医学部進学を希望していた」という理由だけで本人も医学部を受験し、地方国公立大の医学部に合格した。

現在

 医学部入学直後から、「これは失敗した! 騙された!」と話す相変わらずの変人っぷりだったが、無事卒業して医師として勤務している。ただ、医療には全く関心が無いようで、早々に転職を考えている様子。今となっては、その変人気質が人から好かれるようにもなり、平穏無事に暮らしている。学生時代から再会する度に彼女が変わり、体重と容姿が乱高下している。

具体例7:「平均的な天才」

「平均的な天才」CARPE・FIDEM参加前後のレーダーチャート

経緯

 幼少期より、理数系科目について驚異的な才覚を持っていたが、家庭や学校からは特段の対応も無く、寧ろ進学先は平凡な中堅校だった。周囲との噛み合わなさが原因で高校を中退し、高校認定取得後に地方国公立大学に進学するがそこでも同様の事態が発生し、CARPE・FIDEMへやって来た。

対処

 参加段階で、既に大多数の医学部がA判定と、高いスコアを確保していたため、学習指導は基礎学力の不足部分の補足のみに留めた。東大の入試問題を目算だけで解く等、類い希な才能を持っていたが、当人は特に気にする様子も無かった。その後、駿台の東大模試で理三A判定を取り、成績優秀者となるが、実際の出願は一段階落として受験している。国公立大医学部他、上位の私立大医学部にも複数合格した。

現在

 医師としての人生は一つの「滑り止め」と考えていたようで、国家試験合格後は、IT関係職への転身を考えている様子。

具体例8:「歌って踊れるITエンジニア」

「歌って踊れるITエンジニア」CARPE・FIDEM参加前後のレーダーチャート

経緯

 生まれながら容姿に恵まれ、当人もそれを自覚していたが、特に鼻にかけることもなく、寧ろそれ以外の部分での才覚不足に悩んでいた。家庭環境の悪化と教育環境が原因で高校を中退。大手通信高校に入学するも、提供される学習水準の低さを理由として、CARPE・FIDEMに転身した。

対処

 容姿を活かす方向を模索していたが、本人も親も「水もの商売」への忌避感が強く、手堅い職を求めていた。本人の関心と時代の方向性を含め、国公立大学情報系学部へ進学した。入学と同時に、ファッションモデルのオーディションを受けたところ、副業として活用する程度のレベルに達した。また、歌唱力も同程度に評価されるに至った。

現在

 恋人にも恵まれたこともあり、「水もの」は大学生時代のみに限定し、あくまで手堅い生き方を模索する模様。

具体例9:「生まれたての子鹿」

「生まれたての子鹿」CARPE・FIDEM参加前後のレーダーチャート

経緯

 家庭にも学校にも友人関係にもバランス良く恵まれ、当人にも何ら問題らしい問題も無く、平穏な日々を過ごせたはずの人生だったが、「致命的に体力が無い」というただ1点の欠点のために、高校から不登校に陥った。

対処

 CARPE・FIDEMに来た際には、周囲から「本人の気力が無い」「意志が弱い」「目標意識に乏しい」と評価されており、本人もそのように自覚していた。親御さんからは「精神を鍛え直して欲しい」との要望が上がっていた。一方、暫く日常生活を観察していたところ、本源的問題は別にあるのではないかと推察される場面に度々遭遇したため、学力養成は一時停止し、半年にわたり、基礎体力の養成(主にマラソンと筋トレ)と食生活の見直し(炭水化物中心→蛋白質中心)を最優先課題とした。

現在

 体力の向上に比例して、「本人の気力が無い」「意志が弱い」「目標意識に乏しい」の全てが改善し、CARPE・FIDEMの籍は残したまま、在籍していた高校に復帰した。表面的に見られる課題は、ほぼ全て体力不足をその根源としており、個別対処の必要は無かった。

 

(注)以下は、レーダーチャートにおける、大雑把な評価基準になります。

「基礎学力」

 当実例内での「基礎学力」とは、一般的な高校生が要求される、高等学校における教育水準の程度を表しています。所謂IQとの厳密な関連性はありませんが、各カテゴリに該当する高等学校在籍生の平均的知能指数は参考にしています。

1:基本的な読み書き計算に致命的な支障がある。
2:小学生程度の基本的な読み書き計算は行える。
3:表面的には見えないが、基礎学力に問題がある。
4:基礎学力に問題はあるが、改善し得る。
5:最低レベルの大学受験(所謂Fラン大学ではない)が可能である。
6:平均的な大学受験が可能である。(日東駒専他)
7:中堅進学校の中堅層(地方国公立大学・GMARCH他)
8:中堅進学校の上位層(上位地方国公立・上智大・東京理科大他)
9:上位進学校の中堅層(上位私大医学部・中堅国公立医学部・早慶・地方帝大他)
10:上位進学校の最優秀層(東大・京大・国公立医学部の最上位層)

「対人関係」

 当実例内での「対人関係」とは、主に日常生活における人付き合いの円滑度を表しています。対象は家庭外の第三者を想定しており、家族との関係は含まれません。

1:第三者とのコミュニケーションは一切取れない。
2:当人が認めた第三者に対してのみ、極めて限定的なやり取りを行う。
3:最低限の対話は可能だが、当人が積極的に行うことはない。
4:基本的なコミュニケーションは可能だが、苦手意識がある。
5:平均的なやり取りが無理なく行える。
6:同系統の人間とは円滑だが、逆のタイプは敬遠することが多い。
7:親密な友人がおり、相容れない人間でも拒否することはない。
8:大筋誰とでも対話が可能で、他者を引っ張ることが出来る。
9:真逆のタイプの人間からも、好意的評価を受けることが多い。
10:性別・年齢・社会的地位その他の別無く、ほぼ全ての人々から高く評価されている。

「基礎体力」

 当実例内での「基礎体力」とは、主に日常生活で必要となる基礎体力を基盤とし、それに加えた+αの才覚がどの程度維持されているかを表しています。

1:身体の維持が困難で、ほぼ寝たきりに近く、入院生活が前提である。
2:最低限の起立は可能だが、横臥している時間の方が長い。
3:長時間の連続的活動は不可能だが、最低限の外出は出来る。
4:平日の通学や通勤に支障があり、連日通うことが出来ない。
5:平日の通勤・通学は人並みに出来るが、休日はゆっくり休みたい。
6:平日の通勤・通学は問題無く、休日も多少の外出は行う。
7:平均的な活動に支障は無く、体力面でも人より自信がある。
8:体力面で困難を感じたことも無く、体を動かす活動は積極的に行っている。
9:体力に加え、運動神経も優れており、過去に大会その他で評価されている。
10:ほぼ病気知らずな上、アスリート活動で現在も評価され続けている。

「容姿」

 当実例内での「容姿」とは、主に第三者視点からの外観的評価の程度を表しています。容貌や身長等、一般的に評価の基準に入るものに加え、ファッションセンスや体重等、変更可能なその他の要素も抽象的に加味しています。ただ、主観的要素が多分に入ることから、厳密な評価は不可能で、その点を前提としてご利用下さい。

1:学齢期から現在に至るまで、容姿で評価されたことはほぼ無い。
2:過去容姿で評価されたことは無いが、本人の改善意識がある。
3:容姿での評価経験に乏しく、本人にも改善意識は無い。
4:容姿での評価経験は乏しいが、本人の改善意識がある。
5:平均的な容姿であり、状況によっては評価されることもある。
6:平均的な容姿だが、本人の改善意識により改善傾向にある。
7:学齢期から容姿を評価されることが度々あり、自身もそれをある程度認識している。
8:容姿への高い評価に加え、本人の改善意識の高さがうかがえる。
9:特に優れた容姿を持ち、相対する人からはほぼ好意的な評価を受けている。
10:優れた容姿から、既に芸能・ファッション業界で一定の評価を得ている。

「家庭環境」

 当実例内での「家庭環境」とは、主に家庭内での円滑なコミュニケーションや経済状況、文化的累積を総合的に表しています。不登校・引きこもり問題において、家庭環境は重要なパラメタとなるため、上記要素の包括評価は無理があるのですが、ここでは便宜的に総合評価しています。

1:親子仲は口もきかない程険悪であり、家計が維持出来ない程経済状況が悪く、親は高等教育への関心がほぼ無い。
2:親子仲は険悪であり、経済状況も悪いが、親は高等教育を否定することは無い。
3:必要なことに限った限定的な会話のみで関係は悪く、経済的にも安定はしていないが、高等教育は否定しない。
4:最低限の会話はあり、平均的な経済状況で、高等教育には最低限肯定的である。
5:日常会話はするが、突っ込んだ話はしない。平均的な経済状況で、高等教育には好意的である。
6:親子関係は日常会話のみだが、経済面での困難は無く、高等教育に好意的である。
7:日常会話は円滑で、たまに込み入った話もする。経済面での困難は無く、教育姿勢も前向きである。
8:日常会話は円滑で、親子間の相談は容易である。経済面では余裕があり、要所要所に知性が感じられる。
9:打ち解けた関係であり、経済的にも裕福で、日常生活においても高度な素養がうかがえる。
10:家族間のコミュニケーションは豊富かつ富裕であり、家庭には高度に洗練された文化的素養がある。

「教育環境」

 当実例内での「教育環境」とは、主に中・高等学校や塾その他(場合によっては、かつての在籍学校)の環境水準を表しています。中核は、教員の指導水準に加え、クラスメイトの素行、教育水準をその要素としています。学校環境も、不登校・引きこもり関連では重要なパラメタとなるため、上記要素の包括評価は無理があるのですが、ここでは便宜的に総合評価しています。

1:所謂教育困難校であり、教員の意識も低い上、クラスは完全に崩壊している。
2:教育困難校でクラスは崩壊しているが、最低限教員の意志は感じられる。
3:教育困難校ではあるが、教員と学生との関係は最低限維持されており、崩壊はしていない。
4:中堅校以上だが、教員の意識が低めで、クラスの治安は決して良くない。
5:中堅校以上で、教員の指導も平均的に機能している。たまにトラブルはあるが、基本的には大過無い。
6:かなり良く機能した中堅以上の学校で、教員の意識も高い。トラブルは発生するが、対処はされている。
7:上手く機能した中堅以上の学校で、教員の質も学生の意識も相応に高く、つまらないトラブルは少ない。
8:上位の進学校で、基本的な問題はほぼ無いが、進路面での問題だけが散見される。
9:上位の進学校で、基本的な問題はほぼ無く、進路面でのトラブルはあれど、概ね無理なく解消されている。
10:上位の進学校で、生活・進路両面において円滑に運営されている。教員側は学生に対して最低限の補佐役を自認しており、学生もそれを認めている。

「青年期の課題」

 当実例内での「青年期の課題」とは、主に10~20代のモラトリアム期間における自己肯定感確保の程度を表しています。大雑把には、当人の感じる「余裕」の程度と言い換えても差し支えありません。

1:自我の崩壊に近い状況で、日常生活の維持は不可能であり、入院が前提となる。
2:円滑な生活を行うだけの余力は無く、さりとて具体的解決策の無い手詰まり状態である。
3:最低限の活動は行っているが、著しく低い自己肯定感に押しつぶされそうになっている。
4:表面的には円滑に見える日常だが、目に見えない焦燥感を常時抱えている。
5:日常生活に問題は無いが、ふとしたときに漠然とした不安感に襲われる。
6:基本的な活動には支障は無く、不安が無いでも無いが、誤魔化すだけの手段がある。
7:自我に対する問題は無いでは無いが、対話や書籍での対処手段がある。
8:自我に対する問題は無いでは無いが、対話や書籍での対処手段があり、既に成果を実感している。
9:自身の問題はほぼ全て解決しているが、他者への寛容を今後の課題としている。
10:過去・現在・未来含め、今ある自身と他者を大きく許すだけの度量と素養がある。

 

2023年度夏期休業期間のお知らせ

平素は格別のご高配を賜り、まことにありがとうございます。

 改めて、2023年度夏期休業期間について、以下お知らせ致します。

休業期間:2023年8月11日(金)~2023年8月18日(金)

 尚、自習室は休業期間を通じ、全て通常通り開室しております。また、大学受験理系基礎・大学受験理系応用の授業は、参加者向けに追って連絡致します。

 ご不便をおかけいたしますが、何卒ご了承いただきますようお願い申し上げます。

若草プロジェクトへの協力停止について ~不登校・引きこもり支援現場からの意見~

 こちらへの投稿は久しぶりですが、昨日よりツイッター上にて、若草プロジェクトの件で色々ご意見頂いておりますので、CARPE・FIDEM(カルペ・フィデム)LLC代表の大村が、今件について端的に事情を説明致します。

 まず、CARPE・FIDEMと若草との接点についてですが、これは、知り合いの方から、若草が展開する「まちなか保健室」の周知活動を依頼されたことに始まります。その方とは、特に親しい間柄というわけではなく、知り合い程度の繋がりなのですが、丁度それに前後して、児相案件やDVに悩んでいる女性数名の応対をしていたこともあり、支援選択肢の一環として周知活動に協力致しました。ただ、周知活動と言ってもアファーマティブなものではなく、当該サービスの対象となり得る女性がいた場合、まちなか保健室を選択肢の一つとして紹介する程度のものです。パンフレットや掲示物等の提供が若草からありましたので、その配布も行っていました。

 一方、実際に紹介した方達からは、特に好意的反応があったわけでもなく、リピートしている様子も見られなかったため、実質的な周知は最近ではかなり下火になっていました。個々人にとっての「合う・合わない」は、サービスの優劣に関係無く存在しますので、私もまちなか保健室に対して特に突っ込むことはせず、現状維持が続いていました。

 その後、Colaboの会計不正疑惑の件が明るみになり、所謂WBPC問題から若草への疑義、ひいては、まちなか保健室への疑義へとリンクしていきます。ツイッター上では、若草への協力停止が英断として大きく取り上げられているようですが、CARPE・FIDEMとしては特に大きな決断でも何でもなく、ただ「税金を懐に入れるような組織関係者には関与したくない」という、一般的判断によるものです。

 私が今回の件について不審を抱いた原因は、本来若草とは無関係のものです。CARPE・FIDEMは、不登校や引きこもり当事者への教育支援を行っていますが、不登校・引きこもり業界には多数の福祉関係者が関与しています。問題の事情を考えればそれは自然なことなのですが、この福祉関係者の中に、WBPCと同様の挙動(弱者保護を謳って延々と公金支出を要請し、その使途をコントロールしたがる)をする個人や組織が少なからぬ規模で存在し、かねてより私はその存在に対して疑念を抱いていました。

 何事も、全て営利活動で行うのは不可能ですから、福祉分野が関与するのは当然ですし、仕方の無い部分はあると思います。しかし、この「WBPCライクな福祉関係者」の提供サービスは、具体的な自立策に乏しく、当事者の自立(この場合は主に就労関係)は二の次で、結果的に生活保護を中心とした公的扶助に依存させるだけの結末に終始しています。多額の税金を拠出させる行為は、最終的に納税主体である現役世代の負担感を加速させるのみで、何ら意義が感じられません。これは、近年のAV新法と同様のスキームです。

 この件に特に強く関与している主体として、私は「手遅れ系家族会」「家族会御用ジャーナリスト」「引きこもり業界エライセンセイ」の三者を挙げています。具体的にどの個人や組織なのかは伏せますが、共通しているのは、全て「一見、良いことしているように見える」点と、「旧社会党や共産党関係者と少なからぬリンクがある」点で、この点もWBPC問題と共通します。(ただ、これは別件ですので、詳細はまた改めて。)

 個人的には、何故彼等が個々人の自立二の次で、福祉依存を加速させるのか理解出来ませんでしたが、近年、他業界で類似した事件が発生しているのを見るにつけ、彼等の福祉依存誘導は業界問わず同根で、何かしら「司令塔」として機能している存在がいるのではないかと推察するに至りました。

 冗長になっても仕方ありませんので、簡単な経緯説明となりますが、以上ご確認の上、判断へのご理解をよろしくお願いします。

CARPE・FIDEM LLC代表 大村悠輝

追伸

 勘違いの無いように追記致しますが、実際に困難を抱えた若年女性は確実に存在していますし、その支援は早急に行うべきです。また、年齢や性別関係無しに、若年女性以外の困難にも目を向ける必要があります。その点において、若草が間違っているとは思いません。

 その一方で、弱者救済を錦の御旗にして利益を得ようとする支援主体も多々存在します。個人的には、国や自治体からの委託や補助他、何らかの税金が投入されている組織(NPO法人・一般社団法人等)に対しては、活動実態の抜き打ち調査や、会計への監査を急ぐ必要があると考えます。

追伸2

 昨日、若草の周知活動依頼主より謝罪の連絡が入りました。端的にまとめますと、「以前、先生(大村)とお話した際、生徒さん達のことを良く理解されている方だと感じたため、周知をお願いしましたが、結果的に皆さんにご迷惑をおかけすることになり、申し訳ありませんでした」とのことでした。

 それに対し、私は「炎上は私の経営判断の稚拙さと舌禍が原因であり、逆に巻き込んでしまったことを申し訳なく感じています。また、今回のトラブルは法人上層部が対処すべきことであって、私達のような末端の人間が右往左往する問題ではありません。困難は事実存在するのですから、今後もサポートを継続なさって下さい」と伝えています。

 上述したように、私は金銭の流れを統括するWBPC上層部の公金不正疑惑に対しては強い懸念を感じている一方、支援の必要性は否定していませんし、末端での活動実績はまだ未知の部分が多いと判断しています。また、中には事実無根の誹謗もあるようで、中傷がもたらす別のトラブルにも憂慮しています。

 私も、過去に引きこもり支援業界の人権活動家や、長期高齢引きこもり当事者から、事実無根の作話による営業妨害を度々経験していますが、疑惑を問いかける監視の側には、徹底した事実ベースの視線が求められるものと考えます。

追伸3

 若草の件で、質問を頂いております。また、誤解されている箇所も見られましたので、Q&A形式で回答致します。(ここは、必要に応じて適宜追記します。)

Q1:若草からお金を貰っているのか?

A1:ビタ一文受け取っていません。全てボランティアです。

Q2:NPO?

A2:NPOではありません。普通の営利組織です。

Q3:都や国から補助金を受け取って運営しているのか?

A3:自治体や国からの委託・補助は受けていません。あくまで、民間内での運営です。

Q4:周知を依頼された「知り合い」というのは誰? 名前を言って下さい。

A4:ネットリンチの可能性が高いので、言えません。

Q5:嫌がらせを受けていますか?

A5:今のところ、WBPC関連からは受けていません。引きこもり人権団体からは昔から受けています。

Q6:補助金受け取れなくなるから若草切ったのか?

A6:そもそも最初から何も受け取っていません。紹介用パンフのセットのみです。

Q7:真摯に活動をされている同業者、すなわち横の繋がりをお持ちならぜひファーストペンギンになっていただきたい。

A7:それは嫌です。面倒な人達に絡まれると厄介ですし。

Q8:「手遅れ系家族会」とは?

A8:引きこもり業界で探してみて下さい。引きこもり版○BPCです。

Q9:「家族会御用ジャーナリスト」って誰?

A9:引きこもり業界で探してみて下さい。引きこもり版桜○いろうです。

Q10:「引きこもり業界エライセンセイ」って誰?

A10:引きこもり業界で探してみて下さい。引きこもり版○野センセイです。

Q11:若草に協力したのは何故ですか? 

A11:判断は誤っていましたが、当時は親切のつもりでした。

Q12:メリットがあったのですか?

A12:何もありません。寧ろ、若草から逆輸入されてきたケースがあり、当事者の子達に10数万円無償で支払っている状態です。ただ、これは自主的に行ったものであり、若草は無関係です。

Q13:コラボの会計士が速攻で逃げたのと同じで巻き込まれる前に逃げただけやん

A13:事実ではあります。親切でやったのに、社会から敵扱いされては堪りません。

Q14:WBPC問題はこれだけの疑義が明らかになった反面、公式に不正と認定された事実がまだありません。その中でのご決断には相当の苦悩があったとお察しします。

A14:構いません。事前に兆候は察知していましたし、領収書を出さないColaboはほぼ確実にクロでしょう。後は、構成関係者のリンクから判断します。

Q15:福祉は共産党関係者が多いのですか?

A15:全てとは言いませんが、生活保護含め、旧社会党や共産党の利権&票田でしょう。引きこもり業界も同様で、特に新しい話でもないです。

Q16:Q15の判断基準はありますか?

A16:経験則ですが、「私達良いことやってます」と綺麗事を言っているわりには、「play fair」(正々堂々)の概念が無かったり、「自分のことは棚に上げて」を平気でやる人達は大体そうでした。これは、綺麗事&強行突破がカネになるためだと推察しています。

Q17:何故このタイミングで表明したのか?

A17:タイミングに特に意味はありません。時代の流れ的に、今後薄汚い行為は更に許されなくなりますし、薄汚い行為に関与したくないだけです。

Q18:Q14の事前の兆候とは?

A18:引きこもり業界では、2013年前後には既に「福祉福祉」が跋扈しており、明白に不自然な動きをする人々がいました。タイミングも、WBPCの活動開始と大筋同時期です。

Q19:ネット上で御社を否定している話がありますが。

A19:反対意見があるのは正常なことですし、誰がやってるかも知っています。最近では、暴力的「ひきこもり支援」施設問題を考える会 共同代表を名乗る人物がそれでした。が、当該人物は、何故か最近になってその肩書きをツイッターから消去しています。

Q20:若草への協力と同じような支援は、今後しない予定ですか?

A20:そんなことはないですが、支援主体は吟味するようにします。

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